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09東大合格発表の季節[01]

☆今年も東大合格発表の季節がやってきた。1881年、東大初代綜理に加藤弘之が就任して以来、≪官学の系譜≫と≪私学の系譜≫の国家や市民社会づくりの葛藤が続き、戦後教育基本法によって、≪私学の系譜≫の精神が浸透したかのようにみえたが、2006年教育基本法改正によって、再び≪官学の系譜≫の精神が鎌首をもたげてきた。

☆その流れに連動するかのように、公立高校の進学重点カリキュラムの進化により―要するに受験指導の徹底により―、80年代以降、私学の東大合格実績の右肩上がりにマッタをかけるようになった。もっとも、マスメディアは、≪官学の系譜≫と≪私学の系譜≫の精神的なダイアローグによる社会に与える影響についてよりも、ひたすら私学と公立では、どっちがたくさん東大にいれるでショーに注目している。それは、大学の大衆化のせいなのか、大衆の反逆の名残なのか、ポストモダニズムの流れなのか、市場至上主義の蔓延なのかわからない・・・。

☆「サンデー毎日(3月22日号)」では、東大前期判明分の記事のリードタイトルでこう表現されている。「地方伝統校躍進の陰で『開成』大幅減のナゼ?」と。

☆2005年から東大が地方で説明会を開催するようになり、地方で東大の評価が高まっているからとか、いろいろあるのだろうが、単純に来春は、開成の浪人生が50人くらい合格するだろうから、また170人から200人の間ぐらいの合格者はでるだけのことだと思うが・・・。どうしても、私学vs公立のパワーゲームにしたいらしい。

☆そんなことよりも、戦後、南原繁や矢内原忠雄のような、官学に身をおきながら、内村鑑三門下生として≪私学の系譜≫を作り上げていった人材が、いかにこれからも東大から輩出できるかを批判的に論じたほうが日本にとっては有益なような気がするが、どうだろう。

☆それにしても麻布は毎年70人から90人の間をいったりきたりで、はじめからパワーゲームには無関心であるのがよい。もっとも理Ⅲの合格者が開成より多かったのはどういうことだろう。麻布の中でキャリア観の違いが生まれているのか。

☆また、洗足学園から合格者が4人でている。これは今までの同校の改革路線の1つの成果である。教育のクオリティと受験指導の両立ができあがったということを意味する。

☆後期の結果が出るまで、しばらく「サンデー毎日」のデータを読んでいくことにする。

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