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09東大合格発表の季節[03]

☆灘の今年の東大前期合格者数は95名。昨年の前期後期合格者が114名だから減少といえば減少だが、その分京大は増えている。いずれにしても開成に次ぐ合格者数を輩出しているわけで、減ったとかそうでないとか論評してもあまり意味がない。

☆それに、理Ⅲの合格者数は、断トツの14名、理Ⅲの合格者数ランキング2位は洛南の6名。3位は開成ではなく麻布の5名。やはり開成は今年は何かがあったのか。それとも麻布の学内のキャリアデザインに違う風うが吹いているのか?それはないだろう。偶々・・・。

☆ともかく灘は京大の医学科でも断トツの21名の合格者を輩出。改めて驚くべきことではないだろうか。

☆灘出身で、医学部をねらっていたが、浪人中に方向転換して今では東大農学部から大学院に進んでいる院生にあったことがあるが、実にピュアで哲学的なのだ。もちろんバイオ関連に進んでいる科学者の卵である。

齊藤孝さんが内村鑑三の精神を引き継いで書いた「代表的日本人」(ちくま新書2008年)の中で嘉納治五郎の武道力が紹介されているが、この道の思想が灘の生徒には受け継がれているのだろう。医学も医術道として、武道力が通じるのかもしれない。

☆嘉納治五郎が熊本の第五高等学校校長だったころ、小泉八雲が英語を教えていた時期がある。八雲の大切にしていた精神は、日本の道である。この精神は官僚近代の精神とは違う。また嘉納治五郎は、井上円了とか棚橋一郎のもとで倫理学も教えている。

☆だから白山御三家と東京女子学園にその精神が分有されているはずだが、一部郁文館はそこから離脱しはじめたかもしれない。

☆第五高等学校の小泉八雲の後任は夏目漱石だ。漱石も八雲同様、日本は内発的であらねば何か大事なものを置き忘れてしまうと憂慮していたのは言うまでもないだろう。

☆そして八雲や夏目漱石のその官僚近代への懸念や憂慮という批判的精神を作り上げたのは、福沢諭吉や新渡戸稲造や江原素六という≪私学の系譜≫の第一世代である。灘が江原素六が創設した麻布と提携校なのは、偶然ではないのかもしれない。

☆とにもかくにも、東大合格者数ランキング3位までは、開成、灘、麻布であり、戦前までの≪官学の系譜≫を作ってきた加藤弘之の精神とは異なる≪私学の系譜≫を引き継いで戦後の教育の基礎を作った南原繁の精神を引き継いでいる私学から東大にたくさんはいることは、何か大事なものを忘れることを阻止する可能性を残すのではないか。

☆もちろん、私立に通ったからといって、≪私学の系譜≫の精神を引き継ぐとは限らない。あくまでも確率の問題であるが、灘出身で東大に進み、官僚になってはみたもののやはり≪私学の系譜≫を引き継いでしまっている民主党の鈴木寛氏の教育観は、過激なまでに私学的だ。灘そのものの良質のリバタリアンだ。もちろん、大衆教育時代にあっては両刃の剣であることに間違いはない。ただ、灘が日本を動かす人材を輩出している1つの証明ではある。

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