09東大合格発表の季節[05]
☆ランキング7番目は東大寺学園(43名)、8番目は岡崎(愛知県立 42名)、9番目は駒場東邦(38名)、久留米大付設(38名)。ここまでがベスト10というわけだ。
☆学校のハビトゥス(文化資本の再生の型)なんか関係ないという見方も大いにあるだろうが、意外や学校の伝統的な考え方や行動規範というのは卒業生に無意識のうちに引き継がれていることが多い。
☆これを書いているとき、日テレの「ウェークアップ!」で松下政経塾のリポートが流れていたが、やはり気概や理念はリーダーには重要であり、脈々とよきリーダーシップの伝統を創造し続けようということだった。また、世界同時不況のおり、本業や理念を大事にしている企業ががんばっているではないかという宣伝も放映されていた。
☆人づくりはどこの企業でもテーマである。だとするならば、やはり中高時代の人づくりの環境は重要である。
☆そういう意味で、東大合格者の価値観や行動規範を、合格者の母校の理念からたどっていくことによって、良し悪しは別として、国家の多くのリーダーを輩出する東大を見ていくことは、国の近未来を予見する1つの情報だろう。
☆さて、東大寺学園の話にもどろう。仏教学校の中でも、奈良時代からの華厳宗ベースの理念を持った学校だ。唯識という思想が流れている。卒業生がこの意識を持っているかどうかはわからないが、唯物でも唯言でもない。今日的にはバーチャルということだろう。
☆学園自体は20世紀になって設立されたから、どこまで時空を超えた理念を浸透させる教育システムを形成しているかどうかはわからないが、唯物的進化論ではなく、すべえてはもともとあるのだというちょっとソクラテス的な発想は、唯物的進化論で進んでいる官僚近代に対し唯言(ロゴス)的進化論や啓蒙思想的民主主義、キリスト教的精神で言論を交わしてきた今まで話題にしてきた私学とはまた違う≪私学の系譜≫である。
☆県立岡崎は、公立であるがゆえに、唯物的進化論ベースの教育を行わざるを得ないが、進化論の考え方は様々で、リチャード・ローティやJ.デューイのようなプラグマティックなダーウィン論を展開することも可能である。ここには新たな≪私学の系譜≫の生まれる可能性が実はある。東大の中に加藤弘之のような官僚近代形成に影響を与えた総長がいたり、戦後の教育のベースを、クリスチャン人脈によって形成した南原繁のような総長が出たりするのは、どうもダーウィンの両極の理解が可能だったからかもしれない。
☆しかし、県立岡崎の登場で、≪私学の系譜≫と≪官学の系譜≫のディスカッション(弁証法)が生まれる条件がでてきた。
☆つづく駒場東邦や久留米大付設は、唯言的進化論ベースなのではないかと思う。国家よりは世界と自分の成長を大事にする学校であるから。
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