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09年首都圏中学入試[100] かえつ有明の通奏低音「半学半教」

☆今、かえつ有明がおもしろい。とにかく多様な先生方と生徒がいて、それがしかしまとまっている。怒るな働けという教育理念の意味がよくわかる。価値観のぶつかり合いなんてやめて、今ここで起きている問題や課題をいっしょに乗り越えようよというプラグマティックなマインド。

☆そんなことを思っていた時に、朝日新聞に掲載されている加藤寛学長(嘉悦大学)のキャンパスブログが目に入った。

24時間キャンパスを実現したら学生たちの目の色が変わった。深夜まで学習ができるから仲間が増え、いつのまにか教え合い、学び合うようになった。これこそ福沢諭吉のいった「半学半教」の精神だ。「一日先に学んだ者は師となる。一日遅れた者は弟子となる。師弟に差はなし」教師が威張っている教室には、楽しさがない。先生も弟子となってこそ学生は楽しくなる。これを大学ではTA・SA制度とよぶが、大学院生が師となり(TA)、上級生が兄となる(SA)。

☆これは中等教育段階のかえつ有明にもあてはまる。24時間キャンパスはさすがに実施していないが、「半学半教」の雰囲気そのもの。加藤学長も「カトカン」と呼ばれているぐらいだ大学も中学も、先生方は威張らないということだろう。こういうコミュニケーションの雰囲気は、創設者嘉悦孝が福沢諭吉と時代精神を共有していたのだから、もともと嘉悦グループ全体にあったのだろう。

☆加藤学長は、言うまでもなく慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスの創設の功労者。そのときすでに、学生が自ら調べ、議論し、編集し、プレゼンするようになるITインフラを整え、時代の先駆けをやってのけた。その先見性と先進性が、嘉悦大学の学長になっても実現されている。

☆しかし、学長になってはじめて、ある意味、慶応とシンクロする精神があるのに驚いたのではないだろうか。同ブログにはこうある。

嘉悦孝先生は、いみじくもいわれた。「教育とはしばりつけることでもなければゆとりをもたせ訓練しないことでもない。それぞれの学力に応じてそれに即した知識を得て実用に役立てることだ」

☆まさに「半学半教」の精神である。そういえば、ある中3の在学生は、「うちの学校にはジャイアンとスネオの関係はないな」と語っていた。

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