09年首都圏中学入試[101] 桜蔭中と都立高校の入試問題
☆先月24日、都立高校の入試問題が朝日新聞で公開されていた。国語の入試問題を見て驚いた。出題されていた橋本紡さんの「永代橋」は、今年2月1日、桜蔭中の国語で出題された文章テキストと同じだった。
☆そういうことはよくあることなのだが、都立高校出題の文章の長さは、桜蔭の5分の1くらいなのだ。しかも問題も選択式問題が中心で、わりと直感的に思いついた自分の解答を、選択肢と照合しながら、消去法で考えるタイプのものばかりなのが都立高校の問題。
☆桜蔭は、比喩や例示、情景描写、象徴などのレトリックを論理的に読解するリテラシーが要求されているし、すべて記述問題。
☆中学受験生の読解リテラシーと公立高校受験生の読解リテラシーのこの格差は問題である。漢字の出題を見ると、学習指導要領に即しているから、中学受験と高校受験のレベルの逆転はない。
☆しかし、読解リテラシーのレベルのこの逆転現象は、学習指導要領の問題ではない。いや本当は問題なのだ。読解リテラシーとは思考のレベルである。あるテキストをどこまで考えて読み解いていくか、そのレベル設定がされていないのが学習指導要領。
☆学力の基礎問題とは、漢字を覚えるかではない。どこまで考えられるかだろう。同じテキストでも、これほど考えるレベルの違いがあるのだ。ところが、学習指導要領は何を読むのかは設定されていても、どこまで考えるかは設定されていない。この事実が明白なのが、今回の桜蔭中の入試問題と都立高校入試問題の差異である。
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