09年首都圏中学入試[107] 東京女子学園の次の一手
☆今年の生徒獲得戦略において東京女子学園は健闘した。4科目の午後入試を一回分増やしたおかげで、入学者は募集定員には満たなかったものの、全学年800人規模の目標を達成するには十分の入学歩留まりであった。今年のサンデーショックによく耐えたといえよう。
☆しかし、何としてでも募集定員は確保したい。そのために校長實吉体制になって10年以上経つが、着々と改革は行われてきた。英語の教育をはじめ教科のイノベーションは毎年行われた。キャリアデザインのプログラムも充実した。いつでも面談できる体制も空間も設けた。きめ細かいクラスサイズの設定、朝テストの実施、生徒の学習履歴などの整理など、あらゆる改革を実施してきた。
☆やり尽くしたのではないか。しかし、だとしたら生徒獲得戦略はもっと効を奏するである。改革の理想と生徒獲得という現実のギャップ。それは何か。
☆それは充実したキャリアデザインにまだやり残したところがあった。キャリアデザインには、生徒が自らどのような生き方をするのか考えるプログラムがある。つまり進路指導は充実している。そしてその進路に対応する進学先である大学選択の指導である進学指導も充実している。あとは合格させる受験指導である。ここが充実し、大学合格実績も出れば、予定通り募集定員を満たせる。
☆そこで、今年度から、この受験指導を本格的に実施することにしたのである。そのプランは、元予備校のプロ集団を、学内に取り込むというものである。教科の講師をマネジメントするフェローを常駐させる部屋を設置し、放課後ある意味学内予備校を開設するのである。
☆進路指導・進学指導は学校の先生が徹底し、受験指導は大学入試に合格する勉強方法を指導する講師を準備するという体制が整うことになる。
☆この新しい受験指導組織は、予備校と掛け持ちなのではなく、学校との連携のみ行う組織である。話題の「夜スペ」とはまったく違うシステムだ。また、予備校としての校舎やインフラ、広告費などの経費を必要としない。すでに学校にあるリソースを共有すればよいのである。それゆえ、その分受講料が安い。
☆数ある現役予備校に通うより、効果があって、費用も安い、そして何より安全であるから、保護者にとっても安心である。学内的にも、教師も生徒も新しい風が入ってくるので、活性化するし刺激になる。シナジー効果が生まれるのである。この不況期のビジネスモデルとしては最適である。
☆校長實吉改革の画竜点睛を欠くことのない次のステージが始まる。
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