09年首都圏中学入試[118] 衰退する学校の条件
☆この時期は、学校や塾にとって、卒業式や入学式の準備、入学前準備学習、春期講習、新人事や新戦略・予算の最終確認などイベントやミーティングが目白押し。にもかかわらず、いやだからこそ、随所で、多くの学校経営者や塾経営者のインターフェース・ミーティングが交わされている。
☆喜びの話題も悲しい話題もいっぱいある。受験市場の話題も桜が開花するよりもはやく満開になっているが、今回はある悲しい学校の話。
☆私が本ブログや書籍や雑誌で、話題にする学校の話は、学校の成長サイクルの大文字A・B・C・Dの領域に限定している。だからいつも学校の光の部分のみ書いて、陰の部分を話さないと批判されるが、陰の部分など話す必要がないぐらい、原理的というか法則的というか、陰ができる条件は決まっている。
☆だから、その条件をクリアするように創意工夫している学校の活動や戦略、先生方の努力や知恵を共有する方が、有益なのである。よく失敗例をということになるが、そんな話を読むのは時間コストの無駄なのだ。(創意工夫や努力の例は拙著「名門中学の作り方」参照)
☆要は保守主義、偏向主義、リスク隠ぺい主義、無気力主義という4つの主義が横行している組織は、衰退し、放置しておくと、手がつけられなくなって、何をやっても対症療法で、戦略不全になるのだ。一気に衰退期から死滅期に突入する。それでも清算する直前に、まだコンバージョン(回心)して、蘇生するチャンスが残されているかもしれない。最後まで諦めないということこそリーダーシップの真価発揮なのだ。
☆だからたいていの組織は、死滅期にはいっても蘇生しようと思ったら、最高責任者の交代劇が演じられるではないか。もう具体例をだすはずもないぐらい、大企業では新聞で報道され続けてきた。
☆今年の中学受験は、単純に生徒が集まる集まらない以上に、新しい時代精神を寛容に受け入れらる学校かそうでないか、その方向転換ができるかできないかが問われる入試となったのである。
☆そのため、それができない、つまり保守主義、偏向主義、リスク隠ぺい主義、無気力主義という4つの壁がすべてたちはだかっている学校は、衰退期から死滅期に突入している。その壁に囲まれた心ある教師は、壁に立ち向かう卵となれども砕け散り、ボロボロと抜け落ちる。外部からエールを送っても、はねのけるほどの鋼鉄の壁が覆っている。
☆昨年夏の私学展で、その学校の様子を見ていたら、教師が抑圧的コミュニケーションを行っていることに気づいていないスペースがあった。不安がよぎったが、やはりうまくいかなかったという結果になっている。小さな権力者の集団・・・。そのことに校長は気づかない。だから立ちはだかっている壁が見えない。
☆リア王と同じ状況である。心ある教師は、アンビバレンツの心的状況に耐えられない限界値に達し、砕け散るのである。なんてことだ。
☆このように、同じ私学市場の中にあって、しかしながら質の市場であるから、質を阻害する4つの壁を崩せない学校は、撤退する道しか残らない。選択したのは生徒や保護者自身であるけれども、彼らのことを思うと、なんとかならないのかと祈らないではいられないが、それが通じるだろうか・・・。
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