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09年首都圏中学入試[121] 私立学校の次の一手

☆受験生やその保護者、塾という外部からは、なかなか見えにくいのが、私立学校と文科省との相克である。いじめ問題や未履修問題のように何か事が起こると、教育法規に基づいてすべてが断罪されるので、新聞紙上に出てしまうと、私立学校に勝ち目はない。

☆文科省は国の基準・ルールの館であるからしかたがない。しかし、基準やルールは、悪法も法であるにすぎず、その正当性や信頼性、妥当性は常にチェックし続けなければ、私立学校の建学の精神は雲散霧消する。

☆生徒獲得戦略は、経営上経済ベースを確保するだけではなく、助成金の問題や外部評価、学習環境の維持、教員採用問題、モンスターペアレンツ問題など教育法規や民事法などのルールの遵守内での創意工夫のマネジメントが必要になってくる。

☆これが公立の場合だと、これらの問題は、創意工夫の問題ではなく、安全管理と危機管理で十分なのだ。法は遵守していればそれでよい。というかそれ以上なにができるのだろうか。

☆ところが実際には、法は解釈に期待されている部分がたくさんある。学校評価の問題一つとってもそうだ。評価の中身については、学校が独自に考えてよい、もちろん憲法、一般法、教育法規の枠内だ。

☆だが公立の場合は、参考例というサンプルが用意されていて、ほぼその通り実行すればよいのだ。しかし、私立学校の場合は、そうはいかない。評価の基準は、建学者の精神や独自の教育理念によらねばならないからだ。

☆その途端に、関係者を巻き込んで賛否両論が噴出する。議論を経なければ何も動かない。議論できるのだから大いに結構ではないかということになりそうだが、そうはいかない。

☆この議論において、安全管理、危機管理はなんなく実行され、何の問題もないようにみえるが、夜を徹しての不毛の議論に心身ともに疲弊すれば、教師は次の朝からの授業の質を担保できない。やりつづけていけば組合も動き出す。葛藤と対立はアイデンティティの危機だ。

☆しかし、そこをコントロールする基準はない。リスクヘッジするには創意工夫がポイントになる。

☆この議論によって解決するというのは、参加者の間で、理解や考え方、感じ方のGAPを鮮明にし、それを放置しておくことが危機を生むというリスクが顕在化する。安全管理や危機管理は基準やルールで抑圧すればそれでよい。しかし、リスクマネジメントは、リスクを冒す判断が求められる。

☆議論というものはかようにリスクが潜在している。モンスターペアレンツ問題なども、まさに議論のもつリスクをいかにマネジメントできるかどうかにかかっている。

☆私立学校の置かれている立場は、世の中全体の幸せ・生徒一人ひとりの幸せを生み出そうという(矛盾が噴出する営みの)チャレンジがゆえに、そこには常にどんなに安全・危機管理に目配りしても、リスクの存在を抑えることができない。リスクマネジメントあるいはクリエイティブマネジメントがポイントになる。

☆チャレンジやチェンジにはリスクが伴う。だからそのリスクマネジメントやクリエイティブマネジメントを協力・支援する覚悟をもって私立学校を選択する必要がある。だがしかし、受験市場はそこまでは目配りが行き届かない。私立学校が自らリスクマネジメントを仕掛ける以外にないのだが、その膨大な段取りを思い浮かべるだけで、卒倒しそうだ。子どものための環境づくりを、いかにステークホルダーとコラボできるか、そのクリエイティブ・マネジメント力を、私立学校は個々にではなく、協力してトレーニングしていく時代がやってきた。

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