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私学の大学進学[001] 私立学校が進学実績を無視できないワケ

09vs ☆「サンデー毎日」(09年4月4日・12日号)のデータを使って、世の中から注目される国立大学合格実績ベスト30位における国公立高校と私立高校の数の占有率を比較してみた。

☆表によると、私立高校の占有率が公立高校よりも高いのは、東大だけ。引き分けは東工大で、あとは公立高校のほうが多い。

☆基本的に公立高校の使命は、地域と日本社会に貢献する人間を育成することであり、その中でさらにリーダーを育成するには、国公立大学に進学させることが使命となる。

☆国民もそのことについて疑問に思うことはないだろう。だから、国公立大学にできるだけ多くの合格者を輩出する高校は、高校入試において難しくなる。国公立大学の合格実績と高校の偏差値は、おそらく強い相関があるはずだ。

☆しかし、私立中高一貫校の偏差値と国公立大学の合格実績の相関はそれほど強くないと思う。それは、使命が公立高校に比較して、より普遍的であり、国際舞台で活躍するリーダー育成という使命に、日本の国公立大学に合格させることは最優先目標ではないからである。

☆そうはいっても、私立学校は受験生や保護者が選択し、教育委員会がその振り分けに配慮するような政策を作ってはくれない。だから、公立を選ぶか私立を選ぶかという受験生や保護者に対し、どうしても合格実績という指標を準備しておかねばならない。

☆私立学校においては、受験市場と私学市場のジレンマがあるわけであるが、それを解決するには、日本社会の各分野で活躍するチャンスの多くある(あくまでも確率論的)大学に進学する道を用意し、そこで何が大事なのか影響を与え続ける可能性に賭けることも大切なのである。

☆したがって、私立学校も教育理念や建学の精神を広めるためにも、受験市場を無視できないのである。むしろしたたかに戦略的に活用する必要があるのも一理ある。ただ、そのような使命を生徒が有していたとしても、それは何も東大に行かねば達成されないということもない。3,000人強の定員である。それだけで世の中を変革できるわけでもないのも確かである。

☆ところで、全国の高校に占める私立高校はおよそ30%で、私立中高一貫校は7%である。先の表をみると、いかに私立学校ががんばっているかがわかる。理念なき時代に、理念も必要とするという価値観を有した人材もいることが多様性であるのは、今さら言うまでもない。動的な平衡(パラドクスだが)を持続することがポイントということか。

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