私学の大学進学[002] 東大入学式
☆昨日4月13日、日本武道館で、恒例の東大の入学式が行われた。今年は新総長濱田純一氏が式辞を述べ、南部陽一郎氏が祝辞を贈った。内容については、東大のホームページに掲載されているので、参照されたい。
☆東大の学問のビジョンは、日本全体の学問を支配しているので、確認しておくことは極めて重要である。学問における日本の東大体制は明治以来の文化であるから、そこから脱するも、その枠組みの中で活躍するも、いずれにしてもチェックしておくことは大事だろう。
☆14年までしばらく濱田体制が続くが、式辞を読む限りは、基本的には全総長の小宮山氏が構築したビジョンの継承で、逸脱するような画期的な要素は見られない。
☆ポイントは3つ。
1)知の構造化・横断化
2)自律分散協調系の人材育成=タフな人材育成
3)世界を担う知の拠点
☆工業中心社会からコミュニケーションベース経済社会にシフトするがゆえに、知の構造化や横断知の養成は必然の流れだろう。初等中等教育レベルも、新学習指導要領は表向きは教科縦割り知識の強化であるが、言葉力を重視する以上、教科横断型の学びにシフトせざるを得ない。
☆結局総合学習を部分否定していながら、全面展開せざるを得ない。ただ現場ではタテマエを鵜呑みにするケースが多いから、横断知とはま逆の流れを実践するところもあり、相変わらず混乱し続けるだろう。
☆しかし、それが学歴分断の行為になっているということにそろそろ気づかなければならない。東大のビジョンを確認しないで、横断知を軽視すれば、結局東大知のコントロール下のポジショニングが決定されてしまう。
☆東大にたくさん合格させている公立学校はそのことに気づいている。岡崎や最近注目されている堀川高校は、横断知をどのようにメインストリームにするか模索中だ。一方、東大にたくさん合格させている私立学校は、すでに横断知が豊穣な水脈として流れている。
☆もちろん3000人強のうち1000人は、予備校型の教科分断型の受験勉強で合格している。そして世の中は、マスコミも含めて、その分断知のフィルターでしかキャッチできていない。南部氏の祝辞を読んで、古き良き時代だと感じたとすれば、それは分断知のフィルターで判断してしまっているのだ。
☆戦後南部氏と同じようなものの見方・考え方をしたチームが、教育を創った。その系譜は今も続いている。≪私学の系譜≫がそれである。南部氏の青春の思い出である一高こそ、内村鑑三と新渡戸稲造の知の拠点だったのだから。
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