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私学の大学進学[003] 武蔵の大学進学結果

武蔵の大学進学結果(09年4月11日現在)が同校のサイトで公開されている。いつものように公表数は、合格実績ではなくて、進学実績だけである。

☆合格実績については、サンデー毎日のデータで補う必要があるが、それでも早稲田大学などは未回収である。ともあれ、判明分だけではあるが、東大、京大、早慶上智、MARCH、ICUの合格者数は211人を超える。卒業生167人に対する割合は、126.3%で、わるくない。

☆しかし、2003年まで東大の合格者数は50人から60人は輩出していたのだから、今年のように20名だと、受験市場からは「どうした武蔵」と問われてしまう。こんな見方もでてくる。「武蔵の入試問題は独特のスタイルだから、一般的な模擬試験とはズレがあり、そのズレの部分で偏差値が低い生徒が入学するケースが多い。だから東大合格者が減ったのだ」と。

☆講談社が発刊した「学歴社会の真実」という本の中には、「名門『武蔵』は東大を捨てたのか」という記事がある。そこで校長山崎先生は、武蔵の教育について次のように語っている。

思春期を挟む12歳から18歳までは、さまざまなことを吸収して人生の基礎を作る、非常に大事な時期です。そのときに大学合格という一元的な基準で生徒を評価するというのは、間違っています。評価基準はたくさんあっていい。大学受験はあくまでも人生の通過点にすぎません。一生通用する土台を作ることが、本当の教育だと考えます。

☆武蔵の入試問題と模擬試験のズレとは、たくさんある武蔵の評価基準のことなのである。模擬試験は一元的な学力しか測れない。ところが武蔵の入試は多様なタレントを見出すことができる。模擬試験の評価尺度よりそのスコープが多様で大きいということだろう。

☆でも、それはずっと武蔵の伝統で、東大合格者が減った理由にはならないのではとまた問われるかもしれない。たしかにそうではあるが、89年ベルリンの壁が崩壊してから、東大を頂点とする学歴三角形も崩れてきたのも事実である。

☆もはやこの三角形の中で「一生通用する土台を作る」こと自体危うくなっている。武蔵の生徒はそのリスクを回避している可能性がある。だから、今度はこう問わねばならない。「名門『武蔵』は日本を捨てたのか」と・・・。

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