伸びる学校[009] 共立女子のイノベーション
☆共立女子は完全中高一貫校にシステム変更してから4年目を迎える。新校舎、シラバス、クラスの人数など様々なリフォメーションを行ってきたが、完全中高一貫の中学卒業一期生が高校にあがる今年、さらに教育イノベーションを行うようだ。
☆全貌はまだわからないが、まずは3月13日にPTA中学広報部によって発行された「沈丁花」を見て驚いた。
☆保護者によってこんな企画が提案されたのだ。「共立生なら誰でも知っている校訓『誠実・勤勉・友愛』ですが、その由来は?と聞かれると卒業生でもなかなか答えられないようです。そこで今回は渡辺教頭先生に、校訓の由来について伺いました。」
☆そして、渡辺教頭は、共立女子の教育の理念が、変遷史であり同時に普遍史であることをわかりやすく解題している。共立女子が日本の近代の光と闇の歴史の中で、どのように耐え忍び女子教育を持続可能にしてきたのかを、「校訓」の変遷にそって語っている。
☆特に「誠実・勤労」はもともとあったが、戦後「友愛」が加わったという一節は、共立女子が現在のEU形成の動きと同期をとっていることがよくわかる。
☆EUの父クーデンホーフ・カレルギー伯爵は鳩山一郎と政治・経済思想でやりとりをし、その思想「友愛革命」を共立女子につないだようだ。もちろんそれを実行したのは鳩山一郎の妻薫である。一郎は伯爵の本「自由と人生」を翻訳し、「友愛革命」の精神を薫に伝えたのだろう。そして鳩山薫は伯爵を招き「夫人と平和」というテーマで講演依頼するところまでいきつく。
☆戦後の教育基本法は、内村鑑三・新渡戸稲造門下生の南原繁がリーダーとなって作り上げた。当時の内閣は吉田内閣。二人のシゲルがクリスチャン人脈を活用して戦後を乗り切ろうとした。南原繁は「聖なるもの」の保守を謳い、第二の宗教革命は日本からなのだとまで言い切っていた。
☆一方鳩山一郎は、日本独自の憲法や教育基本法へ改正する動きをすぐに見せたが、その背景には「友愛革命」があったのだろう。こちらもチェンジを標榜していたということがわかる。
☆思想や方向性の差異は、多様性を生み出すから、どちらがいいかどうかという問題ではなく、大いに結構なのである。ただ忘れてはいけないことは、両者の共通点は「チェンジ」だったということである。
☆この精神はまさに今日の共立女子に継承されている。日々「チェンジ」なのである。今年も新たなシラバスや「自己実現プログラムとショートエッセイの総合トレーニングプログラム」を準備しているようである。
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