« 赤毛のアンと私学の系譜と茂木健一郎さん | トップページ | 私学の大学進学[002] 東大入学式 »

伸びる学校[012] 中村シティー

P1000054 ☆「伸びる学校003」で、私学人としてのヴォーリズの教育は1つの私学の有効なモデルだと紹介した。学校の運営だけではなく、運営するための資金を回収するために、起業や建築を行い、近江八幡市という街をヴォーリズシティとしてデザインしていった。そして世界へ平和と愛を発信する拠点にしようとした。

☆私学人のなせるワザとは、教育という小さな命を預かることからはじまり最終的には世界にまでその思いと行いが広がるものなのだ。

☆清澄庭園の前に位置する中村学園も、今年100年を迎えるが、その歴史はヴォーリズの歩んだ軌跡―それを同学園はフェニックスと呼ぶのだが―に似ている。

☆写真にあるように、ついに中村学園通りという名前が自治体によってつけられた。これは同学園が地域と日々協力し合ってきた証である。学校とは、地域、国、世界と結びつく運動ができる。中村学園のボランティアの理念は、もともと渦巻き。小さく始めながら渦のように周りを大きく巻き込んでいく力のことをいう。

☆まったくもって、そういう運動体で、入学者もそこに吸引されている。100周年を迎えて、学内で大きなうねりが起こっていると教頭梅沢先生。それは何かというと、生徒のコミュニケーション能力の向上である。

☆工業中心の社会からコミュニケーション中心の経済社会にシフトしているのが現在だといわれている。コミュニケーション能力がそくビジネスや経済になるのである。

☆世の中は過剰なコミュニケーション社会で、そこでストレスをかかえる人もたくさんいる。しかし、中村ではそのリスクを回避する感覚が浸透している。

☆過剰なコミュニケーションがストレスになるのは、発信する側と受け入れる側の情報の格差が生まれ、一方向に情報が流れだす環境になったときだ。問いと回答が事実の伝達だけだと、事実を知っている方だけが発信していることになる。見た目は回答するから双方向のようにみえるが、それは事実の確認をしているに過ぎない。

☆梅沢先生は、生徒の発信をどのように創造的に膨らむ対話に持っていけるかどうかが教師のコミュニケーション能力の高さだと語る。また、生徒の方も、正解を求めるのではなく、多様な回答を用意できるかどうかがよい雰囲気をつくるかどうかにつながると。

☆100周年。それは工業中心社会からコミュニケーション中心経済社会へのシフトの転換期を意味するが、中村学園は、経営も教育も順風満帆な航海をはじめた。

|

« 赤毛のアンと私学の系譜と茂木健一郎さん | トップページ | 私学の大学進学[002] 東大入学式 »

教育の挑戦」カテゴリの記事