伸びる学校[021] 横浜山手女子の勢い
☆昨日開催された神奈川私立中学相談会の横浜山手女子のブースには参加者がたくさん集まっていた。インターナショナル・コースと中央大学との提携交渉の話題が生徒獲得にプラス働いているのだろうと思いながら素通りしたら、アン先生に声をかけられた。
☆互いに久しぶりだったので、少し立ち話をしてしまった。アン先生は、インターナショナル・コースのIBのプログラム作成のリーダー。なのに学校案内を配布していたのだった。
☆エンロールメント・マネジメントは成功していますねと聞くと、そう、驚いてはいるし、よいことだけど、横浜山手女子の先生方はとにかく忙しいと。でも教育とはそういうものなのだとアン先生の持論を、久しぶりに聞くことができた。そしてハッピーな毎日だとも語っていた。
☆アン先生が、ハッピーに教育に専念できる環境があるならば、横浜山手女子は大丈夫なのだろう。アン先生は日本人以上に繊細だし、日本人の魂について深く理解をしている。だから静かな瞑想するような時間や散歩する時間を大切にしている。その時間をきちんととれているのかどうかまでは聞けなかったが、横浜山手女子のあるスペースは、アン先生にはピッタリな雰囲気の場所だから、それは安心だろう。
☆アン先生とは、上野の法隆寺宝物館をごいっしょしたことがある。歴史というより、宝物館の空間デザイン自体が、日本文化の精神を実際に感じてもらうのに、ちょうどよいのだ。なにせこっちは英語で充分にコミュニケーションがとれないのだから、空間の力を借りるしかない。
☆それに宝物館の空間デザインは、日本庭園的な発想もあるから、日本の文化が好きな外国人には、小宇宙の感覚をイメージしてもらえる。アン先生もそういう繊細な感覚を持っているので、日本人の私が驚いてしまうぐらいだ。
☆ちょっと難しい日本の精神についてコミュニケーションしなければならないときは、岡倉天心の英語版の「茶の本」をテキストに、ここにこう書いてあるんだけれどと、読んでもらいながら話をした。タオのところは、フランク・ロイド・ライトも好きなスペースの思想の箇所なのだが、やはりアン先生もそこは共感してもらえた。結局は茶室という庭園のメタファーの話なのだが・・・。
☆何を言いたいのかというと、外国人教師は英語を教えるためにだけいるのではなく、リベラルアーツ的な素養を生徒と共有するために、本当は重要な精神的支えなのだということなのだ。特にIBプログラムを編集し実行するとなると、リベラルアーツがベースにないとうまくいかない。
☆アン先生のような教師が長く居続けることができるということは、労働条件だけではなく、いつも教養的な話題について対話できる人材が豊富だということだろう。教養なきIBプログラムはあり得ないし、教養なき人間関係は、アン先生にとって耐え難いはずだからである。
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