入学式を前に桜咲く
☆G20があり、NATO60周年サミットがあり、天皇皇后さまのご成婚50周年を迎え、北朝鮮からは人工衛星という名の怪しげなものが発射されようとしている今日、やがて子どもたちの入学式がやってくる。
☆子どもたちにとって平和を願わない人々はいないだろうに、すべて世界大戦のミリタリ構造がそのまま継承され、何ら解決されていないことが表現されているのが上記のイベントではないか。
☆そんなことを思いながら静嘉堂文庫近辺を散策してみると、桜が咲いていた。このあたりは、国分寺崖線の地形で、政財界の別邸があり、戦前戦後の日本や世界の政治経済の行方に頭を悩ませた重鎮たちの棲みかでもあった。
☆国分寺崖線は、崖のスロープを巧みにデザインした大名庭園風の別邸が建てられていた。この崖線は多摩川上流から下流にかけて続いていて、この線上にシンプルな日本家屋と庭園が並んでいたはずである。
☆その跡地に、ICU、晃華学園、聖ドミニコ学園、五島美術館が建っているが、岩崎家の別邸「静嘉堂文庫」もその1つ。
☆この文庫に向かうとき、世田谷区が管理しているかつてのある政財界人の別邸を外から眺めることができるようになっている。ここも崖の傾斜を巧みに使った庭園だ。
☆そんな地形を歩きながら、崖をのぼっていくと、右手に見えるのは、やはり岩崎家のもう一つの別邸の跡地にたっている聖ドミニコ学園。かつては幣原喜重郎の棲みかだった。その日本家屋の一部は、新校舎の中に埋めこめられているという。
☆のぼりきると、岩崎家の洋館が現れる。ケンブリッジ大学を卒業した岩崎小彌太が好んだ英国風のデザインで、アーツ・アンド・クラフト運動の雰囲気があると言われている。19世紀末から戦前まで、自由で創造的な芸術運動が広がったが、この運動もその一つだ。ユートピア都市の建設の1つの手法でもある。
☆そのころヨーロッパに広がったユートピアでかつエコシティづくりのメタファは、実は日本の大名庭園であった。静かな今では古風であまり顧みられないような空間だが、優勝劣敗近代国家とは違うもう一つの近代の夢を抱いて活躍した理念がここにはある。
☆そしてこの静嘉堂文庫の庭から見えるランドスケープに感動した大平首相は、田園都市構想を見直し始める。土建国家日本のターンニングポイントになる。そこから庭園国家構想が生まれた。
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