今なぜ私学人か クーデンホーフ・カレルギーの現代性
☆2006年教育基本法の改正以来、私立学校の先生方と≪私学の系譜≫論や≪私学人≫について語り合う機会が増えたという話しは何度も本ブログで書いてきたが、まだまだ語りつくせないし、その重要性の発見はこれからも続きそうである。
☆というのも、たとえば、共立女子の教頭渡辺先生とは、いつもEUの父クーデンホーフ・カレルギーの友愛革命思想と共立女子の教訓「友愛」の歴史的結びつきについて話をし、刺激を受けるのだが、伯爵の論文を実際に読んでみると、なるほど渡辺先生が語る伯爵の友愛革命の現代性に思い知らされるからだ。
☆この間の北朝鮮弾道ミサイル発射問題について、国連安全保障理事会の常任理事国の5カ国と日本は11日、北朝鮮を非難し、発射は既存の対北決議に「違反する」と明記した議長声明案で合意したようだが、この国際政治の混迷と解決の指針は、すでにクーデンホーフ・カレルギーが「友愛の世界革命」で提唱しているのである。
☆写真の「クーデンホーフ・カレルギー全集6(鹿島研究所出版会)」には、鳩山一郎が翻訳した「自由と人生」が収めれれている。「友愛革命」の歴史的必然性の書であるが、ほかに「友愛の世界革命」が、なんと鹿島守之介によって訳されている。この小論は、1963年、クーデンホーフ・カレルギー伯爵が、デュッセルドルフ医科大学講堂で講演されたものだ。
☆パンヨーロッパの思想をベースにしているので、サミュエル・ハンチントンとは全く正反対の世界平和論を展開していて、その先見性というか、戦後の国際政治がクーデンホーフ・カレルギーの予見通りに進化しているのに今さらながら驚く。
☆核被爆の国日本だから、友愛革命を起こせるのだという伯爵のエールは、今回の北朝鮮との常任理事国と日本の関係をも想定している。なんという慧眼!
☆すでに核根絶と、ベルリンの壁崩壊後のEUの動きと、冷戦終了後の日本の地政学的ポジショニングと友愛革命の役割期待の論考は、今もまだ世界共通のビジョンになり得るものだ。もちろんヨーロッパ主義的に過ぎるところは、微調整や検討が必要ではあるが。
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