赤毛のアンと私学の系譜と茂木健一郎さん⑦ 評価のモノサシはどこに
赤毛のアンと私学の系譜と茂木健一郎さん⑥ 教育理念が大切なわけのつづき。
☆本書に限らず、茂木健一郎さんは、吸収した経験や知識を、尋常とは思えないほど、あれもこれも結び付ける。
☆本書もキリスト教は出てくるは、「もののあはれ」は出てくるは、ニーチェはでてくるは、白洲次郎はでてくるは、小津安二郎はでてくるは、ワーグナー、モーツアルト、宮崎駿監督、夏目漱石、ココ・シャネル・・・。
☆直線的な配列ではなく、ポンポンあっちにこっちに、たしかにインターネットのハイパーテキストさながらだ。しかし、ウェブの世界のように、キーワードが同じならただそれだけで結び付いているという無意味性はない。きちんと意味の構造があるからタマラナイ。
☆アンの少女時代の世界を、「正解から外れた人ほど魅力的」という世界だと語る時、この世界を金子みすずの「みんなちがって、みんないい」という詩にポーンと結び付ける。
☆一見違うものを、なぜこうも次から次へと結び付けることができるのか。それは差異と共通項を見出す評価のモノサシが、茂木さんの内なる基準として内在化されているからだろう。
☆価値基準というのは、かくも目に見えないものである。それを見える化しようとすると、多様な生き様と知識を結合してメタファー態を作らざるを得なくなる。最初はモザイクやコラージュの姿なのだが、その限界を超えたとき、価値の結晶態に変質しているはずだ。
☆評価のモノサシは、かくして磨きあげれるのであり、本書は≪官学の系譜≫の良心である茂木さん自身の価値転換のタイミングを探す軌跡でもある。
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