伸びる学校[049] 聖学院の挑戦
☆昨日25日、聖学院の学校説明会が行われた。山口校長先生から聖学院の精神、平方校務部長からは、校長の話をうけて、その理念が浸透している聖学院の教育について話された。そしてさらに教育改革としての入試改革が謳われた。
☆10時20分から行われ、12時15分ぐらいまで実施されたが、その後14時まで、多くの保護者が聖学院の先生方と個別に熱心に話をされていた。
☆いつもだと、これで学校説明会としては大成功だったと思うが、実は山口先生と平方先生の話の後で、「外から見た聖学院」というテーマで、外部シンクタンク4名によるクロストークが挿入された。
☆日ごろ、平方先生とこれからの日本の教育をどのように変えていったらよいのか、シングルスクールの再評価をどのように行っていくのか、新しい授業システムをどうするのか、私学市場と受験市場のカップリングをどうしていくのか等々、折に触れ話し合い、お手伝いさせていただいているメンバーが、そもそも聖学院の教育の受験市場外部での高い評価が、きちんと受験市場に伝わっていないことをなんとかしようではないかという話になった。
☆それで、急きょ学校説明会で、そのことを外からの別角度から光をあてようということになり、おせっかいにも4名がクロストークをするということになった。説明会で、在学生や同窓生、保護者が語るということはあっても、4人も異なる組織のメンバーが集結して30分以上も話すというのは、学院当局はある意味大きな賭けだったのではないだろうか。
☆僭越ながら、トリニティ教育研究所の立場で、私がコーディネート役を務めた。英語教育の先進性と数学の可能性については、ベネッセコーポレーションの児浦氏が中心に話をした。ベネッセのテスト評価システムのデータに基づいて、聖学院の生徒の学習力の飛躍的な伸び率を証明したりしたが、なるほどこれはベネッセならではの独自の見方である。
☆NTS教育研究所の北氏は、多くの学校の先生方とのインタビューというフィールドワークを通して教育の質を証明する説得力ある話をした。聖学院がいかにクリエイティブスクールであるのかということを教育空間と部活を中心に語った。他校の話題も交えながら話すのだが、一般の学校説明会では、他校との比較の話にはまずならない。見識ある比較は学校選択という点で最も納得のいく話である。
☆聖学院スタディエクステンションの運営にもかかわっているWCEスタディエクステンションの代表取締役鈴木氏は、長い間海外で仕事をしていたこともあって、オーストラリアのクイーンズランド大学と聖学院が提携することがいかに画期的であるかについて語った。最近はいろいろな学校から海外大学に進学する生徒も輩出されているが、学校が独自のプログラムを持っているというのではなく、生徒が自分で苦労して進学を決める。聖学院は進路体制として仕組みを創っている。これは実に大きな違いなのだ。
☆英語教育にしても、数学教育にしても、部活にしても、エクステンションというフォローアップにしても、「きっちり勤勉型」という熟練トレーニングと「のびのび発想型」という創造性育成の両方が埋め込まれているのが聖学院の教育である。
☆これは勉強スタイルの範囲にとどまっているのではなく、価値観に結びつく。実は世の中というのは、この2つの価値観を一度に活用できないのが常なのである。「のびのび発想型」という価値観が暴走して、歯止めがきかなくなって、今日の世界同時不況が起こっている。一方で、それじゃあ「きっちり勤勉型」でいこうかとなると、今度は抑圧的でイノベーション開発に背を向ける閉塞感が世の中を支配する。
☆これから世界はどうなるかという見識者たちの議論では、両方の価値を統合する人材や組織が求められると。
☆時代が必要とする学校。それが聖学院である。そしてその両方の価値を統合するものは、キリスト教精神という理念なのである。結局山口校長と平方先生の話を別角度で光をあてただけなのだが、参加した100人の保護者は、真剣にそしてあたたかい気持ちで外部シンクタンクの話に耳を傾けてくれた。
☆学校の高い評価とは、多くのかかわりを持った人たちが1つになる瞬間から生まれる。ステークホルダーとの信頼関係をどう形にしていくかということだと改めて感じ入った。このような幸せな瞬間に立ち合わせていただき、受験生の保護者の方々と聖学院のみなさまに感謝の気持ちでいっぱいである。
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