OECD/PISAレポート シングルスクールの重要性浮上か?
☆先月26日に、八雲学園の横山先生と聖学院の平方先生は、「女子校と男子校の本質」について、クロストークをした。その日のOECDのサイトでも、中等教育時代の女子と男子とでは、そのパフォーマンス(ほぼ学力のこと)、性格などについて違うことが明らかになり、この違いを無視する「ジェンダーブラインド」の状態から脱しなければならないというレポートが公開された。
☆そのレポートは“Equally prepared for life? HOW 15-YEAR-OLD BOYS AND GIRLS PERFORM IN SCHOOLProgramme”で、OECDのサイトからもダウンロードできる。
☆女子は学校時代は成績はよい。エクセレントだが、経済社会では、給与や待遇面、社会的地位において、圧倒的に男子が有利である。この事態に対し、各国(と言っても日本はだいぶ遅れている)は、平等な環境を作る方向で動き始めたという。
☆男女に平等なチャンスを与えるというだけでは、結局は男女の違いを無視する「ジェンダーブラインド」になっていて、男女の差別が恒常的になっている状況を見ないのと同じ状態になっていることに気づいたという。
☆男女の差異をきちんと調べて、その差異を実質的平等にいかに変換させるかが各国政府に課せられたこれからの政策戦略だという。
☆2000年、2003年、2006年のPISAのデータベースを活用してここまでのレポートを提案するのだから、テスト活用の本当の価値を日本の教育関係者も大いに学ぶべきだ。
☆それにしても、シングルスクールがよいのかミックススクールがよいのかについては、PISAでは結果が出ないとも言っている。なんとも慎重だ。
☆しかし、男子と女子の差異の中で、ステレオタイプな差異を社会環境が作っているものもあり、それは破壊していかねばという結論もでている。女子は読解リテラシーは高いが、数学は男子。しかし、これはどうも社会環境によって文化的な鋳型をはめこまれている恐れがあるという。そのような社会環境から生じる数学に対する不安感を女子から払拭した時、男子と変わらぬパフォーマンスを見せるケースも論じられているほどだ。
☆本質的にあるいは絶対的に、シングルスクールがよいとか、ミックススクールがよいとかいうことではないようだ。ステレオタイプを払拭できる学校は、結局はどこだということだろう。
☆生徒募集だけのために、あるいは男女がいるのは自然だからというのは、どうやらジェンダーブラインドな考え方につながるし、お国のために男はえらくなり、女子はその男子を支えるのだという良妻賢母的発想は、こんどはステレオタイプを強化する側に回るだろう。
☆さて、ジェンダーブラインドを脱している共学校はどこだろう。男女のステレオタイプ的な差異を払拭し、本質的差異を認識して、それぞれお才能を引き出す女子校や男子校はどこだろう。
☆私立中高一貫校の選択は、国際標準のモノサシを思いきり使う場所であると、改めて感じ入るそんなレポートである。必見!!
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