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2つのエクセレントスクール[15] 武相の夏

「2つのエクセレントスクール[10] 武相の気品」のつづき。

☆はじめての裁判員裁判の判決がでた。各テレビ局や新聞各紙は、そのニュースを大きく取り上げてきた。専門家も登場し、専門用語もわかりやすく解説されていた。

☆今月30日には総選挙。政治や小選挙区の話など、政治のキーワードを国民は学ぶチャンスを得ている。金融危機などは、ファイナンシャルな用語や経済サイクル、景気と財政の関係など難しい話になる。

☆しかし、こと教育の話題になると、国民が教育の専門用語や学びの理論を口にするのはまるでタブーだ。はっきりいって、政治や経済、法律よりよほど易しい教育学のキーワード。教育・子育て選挙と言われていながら、学費の話と学力(といっても得点力の話)の話で終始する。

☆経営やマーケティングのことになると、ハーバード大学の難しいハウツー本を読むのだから、自分の子どもの教育の環境について、そのレベルの本を、せめて一冊は読んだ方がよいのではないだろうか?教育において、一般雑誌は、まったくそのレベルにはない。今後編集方針転換を望むが・・・。

☆それはさておき、教育の領域こそ、国民はちゃんと教育学のキーワードについて目を通すとよいと思う。そうすれば、目の前で行われている教育を正当に評価できる。とりあえず、「キーワード 現代の教育学」(田中智志編 東京大学出版会)を立ち読みすることをオススメする。

☆あるいはクリティカル・シンキングについては上智短期大学の岩崎明子先生の研究ノート「Critical Thinking」をダウンロードすることをオススメする。ともかく教育は専門知をいかに市民知にフラット化できるかがこれから求められるのではないか。

☆さて、そのような準備をしたうえで、武相の夏のプログラムをみると、その教育の価値が極めて重要であることがよくわかると思う。

☆昨日から2泊3日の予定で、武相の中2はHondaのツインリンクもてぎにおいて、「Brainstorming in Motegi 2009 ~自己研鑽~」というプログラムに取り組んでいる。プログラムの仕掛けは、「体験→リサーチ→議論→編集→プレゼン」という文脈学習なのだろうが、ポイントは「ハートは何より大切なんだ。」というコンセプト。

☆ここでいうハートとは、主観が欠如している客観なんて幻想だし、客観的視点のない主観なんて愚かだという意味なのだと思う。従来の教育は知識の整理と論理的思考どまり。大学入試はこれで十分なのだが、それは人間教育の一部に過ぎない。

☆ああだいたい、選択肢問題を客観テストだなんて、どんな科学的視点を持っているのだろう。

☆ともあれ、そういう片面的勉強だけをめざしている進学重点校が実際にあるが、その正当性や妥当性、信頼性については、今では誰でも疑問に思うだろう。

☆用意された答え探し、その延長上の自分探しが、現実に立ちはだかる壁をぶち破れないひ弱な人間を作ってしまうのだ。

☆知の考古学がベースの武相の教育では、答えは用意されていない。試行錯誤しながら、議論が出来るオープンマインドと自分の信念という主観を大切にしながら批判的に思考できるタフな人材が生まれる環境を大切にしている。

☆マニュアル思考、記憶術、論理のみをベースとしている教育を提唱する教員は、今後の人権や平和を構築しようとしている国際的な動きに反することに気づいていない。学内外に対し、モンスタークレーマーになるかもしれない頑迷固陋な素養の持ち主でもあるだろう。

☆もしそういう教員がたくさんいる学校だということが最初からわかっていたら選択しないだろうが、教育学に目を通さずに、偏差値や大学進学実績というマニュアル思考、記憶術、論理のみをベースにしていたら、真実を見つけることはできないだろう。

☆だいたい、「それは主観的な話だろうから、捨てなさい」なんていう教師がいたら、あれって思わなくてはならない。真実は客観にはない。相互主観が真実に近づくために議論できる環境にあるのだ。客観がすでにあると幻想を抱く教育は1つの正解があると思っているのだ。そんな教育はおかしいと感じるコモンセンスが問われる時代なのではないか。主観を捨てることはハートを捨てることになるのだから。

☆さて、今は2日目の夜10時。生徒は明日のプレゼンに向けて、チームワークのレベルもアップし、興奮しているだろう。2日間参与的観察者としてロールプレイしてきたラーンニングアドバイザー(LA)の頭の中は、チームメンバー9人ひとりひとりの姿でいっぱいになっているに違いない。ハートは何より大切なんだとはそういう現実だ。

☆武相の生徒とLAのハートに、次の歌を贈る。SEAMOのMy ANSWER

今、出来なくても 焦らないで 慌てないで

君のマイペースで 自分信じて ゆっくりいけばいい

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僕らは悩む 迷う 何度も自分に問いかける

1つじゃない 答え探し がむしゃらにおいかける

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