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今再び学習アドバイザー(LA)育成が必要になる

☆ここのところ学習アドバイザー(LA)について考えているが、10年前に横断知や創造的思考力、批判的思考力を育成あるいはサポートする学習プログラム編集が必要とされかかった歴史的な経緯がLAの必要性を生んだのである。

☆ゆとり教育の総合学習の時間が表層的に受けとめられ、目新しいということもあって、LAに興味をもたれたということもある。しかし、本当は、89年のベルリンの壁崩壊と冷戦瓦解、IT革命、脳科学がもたらした学習の理論の世界的なパラダイムシフトが根っこにある。その根から創造的資本主義とかクリエイティブクラスとか産業構造の転換が生まれている。

☆しかし、そんなことには興味はもたれなかった。売れるかどうか流行するかどうかわかりやすいかどうか、つまり大きな物語が失われた時代にあって、LAの正当な評価はくだされなかった。10年の間に、LAは教師のヘルパーという位置づけになってしまている。教育現場での気づかない階層構造に包含されてしまったわけだ。

☆なにせ、OECD/PISAの世界ランキングにおける日本の子どもたちの結果の下降を、学びのパラダイムシフトが遅れている結果だとみなせる健全な見識者のいないような日本では、しかたがない。とにかく、文科省は、ゆとり教育、つまり勉強時間数が少なくなったという量的指標に責任を追及し、脱ゆとり教育路線に切り替えた。切り替えたというより逆戻りした。

☆しかも、OECD/PISAと似て非なる全国学力テストをPISA型と称し、それをテコに強固に推進している。この見誤りは、実は新聞記者や編集者(というより経営陣かもしれないが)もおかしている。彼らと勉強会や話し合ったりしているときにそう感じた。

☆しかし、8月30日の政権交代選挙が近づくにつれ、国家像や中期ビジョンなきマニフェスト論争はいかがなものかと、テレビ番組で学者や評論家が一斉にプレゼンし始めた。冷戦構造がシフトしたのだから、それに対応する考え方を!と

☆記者や編集者の視点も転換してくれるとよいのだが・・・。

☆ともあれ、どこまであてになるかどうかはわからないが、再び89年以降の世界の動きに照準があってきたわけだから、LAの存在意義も再び注目される時代がやってきたのではないか。

☆ところで、そのLAの能力や実はすさまじいものがあった。日本の経済は10年の空白を迎えていたが、世界はITの知や脳科学の成果が学びにどんどんブレイクダウンされていたし、若い世代が活躍していた時代。それに呼応する大学生や大学院生も集結して、LAとは何か、どう機能させるか、ブロードバンドをどのように活用するかについて、毎週のように議論し、企画をたて、実験していった。

☆もっとも、その時代はまだ、企業に余力があった。それなりに研究開発費は使えた。しかし、2006年くらいから今回の世界同時不況の兆しは見え隠れした。そのころから、目先の利益優先にシフト。いわゆるバランスシート不況へ本格突入。

☆これはどこの企業でもその雰囲気が蔓延。理念なんていらない儲かればよい。CSRなんてスローガンに過ぎないという状況に陥った。大きな物語の喪失は、現代思想から飛び出て、政治経済企業に浸透した。

☆初代チームLAの継承者はどんどん減っていたのである。初代チームLAの育成プログラムの復活とその持続可能性が今後の課題であるが、それはいかにして可能なのか。

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