« 7月アクセス数の多い学校記事ベスト30 | トップページ | 2つのエクセレントスクール[15] 武相の夏 »

マイクロソフトとベネッセと私学の連携が映し出すコト

☆本ブログ「進むベネッセ進学指導支援戦略②(6月23日)」で、私立学校とベネッセとマイクロソフトが連携して、ロボットを作り、パフォーマンスを競うプログラム(CEP)の動きが加速していることについて紹介した。

☆あれから一か月以上過ぎたが、その間に大きな進展があった。すでに、麻布学園、鴎友学園女子、慶應義塾湘南藤沢、駒場東邦、白梅学園清修、聖光学院、西武学園文理の計7校、約250名の中・高生たちがプログラムに参加し、成果をあげたようだ。

関連記事) 理数系人材教育の具体性 -ロボットプログラミング講座-

☆その模様は、大変詳しくIT MONOist   中・高生のための体験型ロボットプログラミング講座  “渇望感”を与え、自主性を刺激する理数系人材教育で報告されているので、ぜひご覧いただきたい。

☆ここでは、このコラボを通して、スーパーバイザーの斉藤氏(マイクロソフト)と小村氏(ベネッセ)が、重要な日本の教育と産業の問題を指摘していることを確認しておく。

☆まず、斉藤氏はこう語る。

「中・高生の早い段階でIT業界へ興味を持ってもらうことを目的に進めてきた。専門知識が必要な一般のロボコンとは違い、理系文系も細分化されていない段階の学生たちがロボット作りに自由に参加できることも特長の1つ。」

☆これは、アメリカの自動車産業がGoogle化してこの金融危機を乗り越えようとしているように、従来の産業構造ベースのキャリアデザインでは、役に立たなくなり、今ではITをベースとしたクリエイティブ産業が従来のサービス業や製造業を凌駕する学際的な知によって産業構造の変化をもたらしているのだという背景が横たわっている。

☆この時代の変化を鋭く読み取っているのは、公立学校よりも私立学校の教師だと斉藤氏は別のところで語っているが、私立学校といってもすべての私立学校ではない。ここにマイクロソフトの踏ん張りどころがある。

☆市場自身がまだまだ変わりたいというクレイムを発していないわけだから、斉藤氏は先導者でありつづける改革者型リーダーといえよう。

☆小村氏もこう語る。

「試行錯誤しながら自分でやり遂げることを重視している。いまの学校は“教える”ことが多過ぎるので、逆に教えないで自分たちで資料を読み込んで考えてもらうように進めている。学生たちが疑問を持ち、質問をしに来るまでは教えない。いい意味での“渇望感”を与えてることが、いまの学生たちには重要だと考えている」。

☆小村氏らしい表現。「渇望感」とは「モチベーション」。外発的ではなく内発的なモチベーションのことだ。先回りしてにんじんをいっぱいぶらさげると、内生的成長はないぞということだろう。厳しく鋭い日本の教育の問題の指摘である。

☆「課題」は解決できるが、「問題」は深く広く根をはりめぐらし、そう簡単には解決できない。試行錯誤・ディスカッション・正解のない問題へのオープンマインド、本当の意味での批判的思考。これらは、知識を整理し暗記する記憶術としての教育とは対極である。従来型の教育では理解不能な問題なのだ。

☆このようなプログラムを実施しようとするとき、公立は及び腰になる。私立も、学内で真っ二つに分かれる。ただ、私学はそれぞれの教師の自由裁量というか許容が広い。有志を募ってやることは容易だ。

☆だから、今回参加した7校には、クリエイティブで質の高い教師がたくさんいるということになる。そして、これから参加することが決まっている9校の学校も同じような事情があるのだろう。

☆ノーベル賞を受賞している物理学者ファインマンは、好奇心、開放的精神、批判的思考が科学者の3要素だと言っているが、これは未来の教育の3要素でもあろう。

☆私立学校とマイクロソフトとベネッセのコラボプログラムがどこまで浸透していくのか。未来の教育イノベーションが大きく回転しだすかどうかの1つの重要な試金石である。

|

« 7月アクセス数の多い学校記事ベスト30 | トップページ | 2つのエクセレントスクール[15] 武相の夏 »

教育イノベーション」カテゴリの記事