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公立と私立のキャリア教育観の差異

☆RECRUITの発刊している「クラス担任のためのCareer Guidance8月号」の中に、キャリア教育実践例が8校分掲載されている。

☆そのうち3校は私立学校で、青森の私立弘前学院聖愛高校、八雲学園、麻布学園のケースが載っている。

☆聖愛高校の記事では「相手のペースに合わせる」というキーセンテンスがポイント。ここには生徒の中から何かがうまれるのを待っている教師の姿がある。

☆八雲学園の場合もそうだ。「内面的気づき」というキーフレーズにそれは表れている。麻布学園もそう。「内在化」というキーワードがそれを表現している。

☆つまり、これはそれぞれの生徒の価値観を大事にする教師のコミュニケーションの覚悟なのである。

☆ところが、公立学校の場合は、どうしても進路先の知識や学習の仕方という能力や技能の話が中心になっている。「モチベーションがあがる言葉」「客観的認識」「肯定的な相槌を打つ」「気軽な声かけ」「自分の行動スタイルを客観視」というキー概念が飛び出ているが、生徒の外をぐるぐる回っている教師の態度がそこにはある。

☆これらは、教員研修で定番になっている言説で、生徒のアイデンティティ・クオリティに響かない。

☆これは公立の教員の資質や能力の問題ではない。制度の問題である。学校教育法21条10号にこうある。

職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

☆とある。極めて具体的な指示がでている。そして、ここには生徒が生きる価値観についていかに学ぶかは明らかにされていない。個性はそれぞれの価値観という基準に拠って、外的要因を判断して表出された言動・様子である。個性=価値とは必ずしもいえない可能性がある。つまり、公立学校は内面には介入できないようになっているのが、現行法なのである。

☆私立学校は、この部分は建学の精神や理念、宗教教育で補える。というよりそれがベースなのである。

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