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09≪クオリティスコア≫首都圏共学校

09≪クオリティスコア≫首都圏女子校のつづき。

☆昨年と比べて大きな変化は、かえつ有明のクオリティスコアがさらにアップしたことだ。共学校の中では渋谷教育学園幕張と並んでトップになった。

09qs_5 ☆クオリティはいっしょでも、入学時の生徒の受験準備の差があるから、すぐに大学進学実績で追いつくとか追いこすとかいうことにはならないだろうが、6年後にはかなりおもしろいことになっているだろう。

☆その理由については、石川教頭によると企業秘密のようだが(微笑)、たしかに手ごたえを感じているようだ。

☆嘉悦校長の生徒との接し方や生徒が校長を受け入れる様子を、文化フェスタで共にさせてもらったが、麻布の氷上校長と話しているときと同じトーンがあった。

☆また、JGの斉藤前院長と話をしているときとも同じようなトーンがあった。教育者だからということもあるだろうけれど、普遍的な何かを感じた。

☆ともあれ、外から見ていて、かえつ有明は、教師一人ひとりが、専門家型リーダーから個人尊重型リーダーや戦略家型リーダーに自らの殻を破ろうとしているのがよくわかる。もちろんスペシャリストとしての技術や知見は磨き続けるが、もっと広い視野。横断的なんて甘いものではなく、学際的かつ戦略的に。だから学内の議論はすさまじいし、それがシンメトリックに生徒の学習スタイルにインストールされている。

09 ☆もちろん、先生方はまだまだ議論が足りないという。たとえば、国語科の武井先生は、かえつの国語科のリーダーであるだけではなく、私立学校全体の基礎学力研究グループのことば力などの研究リーダでもあるが、先生は、ポストモダン下の風潮である、ことばの指示機能特化現象に警鐘を鳴らし、ことばの意味機能(意味といってもここでは多様な文脈や歴史的価値も含む)回復論を展開している。

☆しかし、大事なことはそれを理論化しているだけではないということだ。文化フェスタで何気なく惹きつけられて入った「出版部」(エッセイや小説を創作・編集する部)のブースで、その成果物「花鳥風月」という冊子を手にした。

☆表紙を開けて驚いた。言葉にこだわるエッセイと自分がトランスフォームしていく成長物語がそこにはあったからだが、なんと顧問は武井先生で、部活でも生徒と一緒になって、意味機能回復論を語り合っていたということがわかる論文が掲載されていたのだ。

☆武井先生に代表されるような動きをTransversalな活動と言うのではないだろうか。広く教育全体に対しても、自分の学校の教科の中でも、そして部活を通して生徒1人1人に対しても、普遍的価値を思索するアイテムをインストールしていく言動。それはたしかにこれでパーフェクトだという地点にはすぐには到達しないだろうし、むしろずっとやっていかなくてはならにことだろう。だからまだ議論は足りないのだと、忙しい校務の中でも意欲を燃やしているのである。

☆ともかく、専門家の領域だけで行ってきたことを、社会に地域に1人ひとりの生徒に浸透させていく行動力をかえつ有明の先生方は持っているということを言いたいのだ。

☆そして、専門をベースに個人尊重型リーダー、戦略型リーダー、そしてなんといっても改革者型リーダーが出現しているのである。

☆何より大事なのは、戦略型リーダーと改革者型リーダが協力できるかだが、どうやらそうなってきているように外からは見える。もしそうなったならば、次はいよいよ麻布とJGの両校に挑む体制が整うことになる。男子校でクオリティスコアがトップなのは麻布で、女子校はJGであるから。

☆これができるのは共学校だからであるが、そういう共学校は今までにはない。それは発想が経営と大学進学実績を基準にしているからである。教育の質の競争という観点は皆無だったからなのだ。ところが教育の質から攻めるとそれは可能だ。

☆かつて鴎友学園女子が、質さえ高めれば、クリエイティビティさえ高めれば、大学進学実績や偏差値は後からついてくるという戦略をとったのとある意味似ているかもしれないない。

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