質向上に向かう大学 私立中高一貫校では当たり前だが
☆「週刊東洋経済 2009.10.24」の特集記事は「本当に強い大学2009」。この時期恒例の記事だが、トーンが若干変わったか。
☆ハーバード大や慶應大などが運用資産で損失を出しているので、量的拡大から教育・研究の質向上にシフトしているという流れなのかもしれない。
☆世界同時不況を待つまでもなく、この傾向はあったはずだが、お尻に火がつかないと実感できなかったということか。
☆私立中高一貫校は、助成金も含め学費以外に資産運用はなかなかできないから、実に質素倹約、質向上以外に手の打ちようがなかったので、何を今さらではあるが、慶應大の清家篤塾長の言葉に耳を傾けてみよう。
福沢は今とは違う意味で、非常に大きな変化の時代、封建の江戸時代から明治維新を経て、近代社会の明治時代を生きた。彼が自分の頭で考えなきゃいけない、と考えた際に頼りにしたのが実学だ。実学とは実際に役に立つ学問と理解されやすいが、福沢の実学はサイエンス、実体のある学問だ。自然科学なら実験により、社会科学なら統計などにより、人文科学であっても文献調査などによって検証できる実証科学だ。
問題を発見し、仮説を作り、それを検証し、最終的に結論を導いて解決をする。そういう力を身に付けるには、幅広くきめ細かい教養教育や卒業論文、卒業研究をしっかりやり遂げる研究教育が必要だ。
☆フム。この段階まで行っている私立中高一貫校は実は多い。なにせ福沢諭吉と同じような≪私学の系譜≫の創設者を有しているのだから当たり前である。この点、公立の進学重点校は受験教育。クオリティの高い私立中高一貫校は、偏差値に関係なく研究教育をやっているのである。
☆そういう意味で、大学入試は大きく2つに分けるべきではないか。
☆受験教育機関には従来通りの入試を課し、中等教育ですでに研究教育をやっているところは、大学2年生から受け入れるような仕組みを作るべきではないか。
☆18歳成人が立法化されたら、ますますそこを考えた方がよい。受験の基礎学力か研究の基礎見識か。どちらがよいのではなく、選択肢として設定されていないところがマズいのである。民主党政権にはそういう慧眼の持ち主がいるはずだから、期待しようではないか。
☆ちなみに受験教育と研究教育の両方を実践している私立中高一貫校をいくつか思いつくまま列挙すると、
麻布・開成・武蔵・海城・芝・芝浦工大・慶應普通部・桐朋・暁星・聖光・聖学院・武相・渋幕・桐光・かえつ有明・公文国際・JG・フェリス・共立女子・八雲・東京女子学園・白梅学園清修・晃華・立教女学院・鴎友学園女子・洗足学園・女子聖学院・・・・・・。
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