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伸びる企業・伸びる私立学校

☆企業と私立学校は違う。しかし、伸びる企業と伸びる私立学校は似た雰囲気が漂っている。

☆私立学校に比べ、それほど企業を訪問したことがあるわけではないが、生活の中に学校も企業もある。生活を通してある程度推測がつくこともある。

☆ふだんある企業や学校に対しあれっと思っているときに、たまたまそこの関係者と会って話を聞く時があるが、そこで氷解するときが多い。

☆伸びない企業や私立学校の場合、まずよどんでいる。動きがない。理想がない。極めて現実的言説の恫喝音が響き渡っている。しかし、それは全く現実的ではなく、危機を見ようとしない態度に過ぎない。

☆これは人間としての姿勢にもあてはまるかもしれない。わが身を振り返り、ゾッとするときがある。歳をとるにつれ、自分もそうなっているのではないかとふと不安になる。特に団塊・断層のわが世代には、そういうメンバーが多いからでもあるが。

☆伸びる企業や学校の関係者と話し合っていると、実におもしろい。そこの関係者5人以上のメンバーと話をする機会があれば、なおさらである。

☆彼らはものすごく実用的なのだ。現実的でもないし、理想主義でもない。ビジョンとその実現のメソッドを常に磨いている人材である場合が多い。もちろんすべてのメンバーがそうであることはない。しかし、コアメンバーが実用的だと、現実的な人材や理想主義的な人材を上手にマネジメントしていける。

☆コアメンバーが現実的で、若手が実用的な場合は、優秀な若手は流出してしまう。理想主義は結局何もしないから、理想を失ったとほざいていればそれでよく、組織に沈澱していく。

☆実用的人材とは実証主義者でもない。実証主義者はいきつくところ悪法も法なのだ。実用的人材は高い理想も志もある。だから批判的に思考できるし、創造的なコミュニケーションも得意だ。というよりもクリエイティブそのものである。

☆理想と現実のダイナミズムを同時に有している。DNAのような一元論者だ。だから、ブレないし、タフだ。現実主義者や実証主義者は、理想主義者でも理念主義者でもないから一元論だとおもっているかもしれないが、両方の次元の片方に固執しているだけだ。

☆理想主義者も理念主義者も同じことがいえる。だから彼らは二元論者だ。

☆二元論者は、片方にしがみついているから、動きは静かだし、停滞や沈澱や閉そく状況を好む。

☆ただし、現実主義者は、それをポジティブシンキングでとらえているし、理想主義者はネガティブだし懐疑的である。

☆ポジティブシンキングだけではバブルは予想できないし、ネガティブシンキングだけでは、バブル崩壊後のパニックをクリアできない。

☆最近、マスコミは権力にたいしはポジティブに、弱い者に対してはネガティブに編集しているように思えてならない。マスコミによる言論によって世界は変わるのだろうか。政権交代は世界が変わることではない。今のところ資本主義が変わるという話は聞いたことがない。

☆資本主義にはポジティブに、資本主義の矛盾を露出しそうな弱者に対してはネガティブにということだろうか。

☆しかし、伸びる企業や学校の組織や人材は、ここの矛盾を公言はしないかもしれないが、寛容にも受け入れている。だから、目の前の矛盾に目をつぶるニーズに、顧客満足を高めるなどと飛びつかない。顧客の幸福を満たすにはどうするか。先の長い話ではないかと批判されようとも、そこにこだわる。

☆生活において幸せを追究することこそ現実的で理想的なのだから。

☆この実用主義を、たとえばヨーロッパでは実存主義と呼び、アメリカではプラグマティズムと呼ぶのだろう。ハーバーマス、ガタリ、デリダ、ローティ、デューイをそう呼んだら、いや違うとこだわるだろう。だがそのこだわりが実用主義者であることの証しである。

☆それにしても、実用主義者と話していると、飲んでいると、実におもしろい。会議も飲み会もクリエイティブである。論理や批判は当たり前だし、直感やイマジネーションでも大いに盛り上がる。

☆デュシャンの「泉」やイサム・ノグチの世界で遊びながら、あっ、それやろうとなる。しかし、彼らは実用主義者だ。洞察的マーケティングをすぐに開始する。統計的マーケティングは、現実主義者の得意とするところで、そこからは何も生まれない。事実から理想は生まれない。理想から事実は生まれない。

☆具体的な経験の中で洞察することにおいてしか現実も理想も生まれない。洞察的マーケティングをするには、情報に敏感であること、古典に精通していること、つまり教養があることが条件だ。

☆教養とはレトリックである。レトリックとは置換ではなく変換である。リプレイスではなくトランスフォームだ。トランスフォームは共感からしか生まれない。現実主義者の論理はリプレイス。理想主義者の批判は空回りで、共感がない。

☆実用主義者の洞察的マーケティングは、速やかに現実がビジョンを抱えながら展開していく。ビジョンに向かってやろうとすると、いつまでたっても現実は動かない。現実主義者は現状にとどまっているし、理想主義者はビジョンを夢見ているだけだからだ。

☆今、実用主義者は、クリエイティブ・クラスと呼ばれている。

☆クリエイティブ・クラスのメンバーとMTGしたり、飲んだりするのは実に楽しい。次の日、メールが来て、たいてい何をやることにしましたとなる。だからかかわってくださいよと。

☆そうそう、クリエイティブ・クラスのメンバーには世代論は全くあてはまらない。私より高齢の方も若い方も、年齢差は感じないものである。世代論は権力論の外皮だから、そんなものにこだわっているメンバーは、クリエイティブ・クラスにはいるはずもない。、

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