麻布の学校説明会と「麻布の丘に」
☆今日(091018)麻布の学校説明会が開催された。その様子については、「麻布の丘に今も続く生徒への信頼」という記事を書いたので、そちらをご覧いただければ幸い。
☆ここでは、いくつか補足しておこう。まず、江原素六の墓参に生徒たちが行くことについて。写真は江原素六先生に献花している生徒たちの様子をスライドで氷上校長が説明しているシーン。
☆生徒たちは江原素六先生を敬愛している。卒業生に話を聴くと、たいていはまじめにその思想を話してくれる。それというのも、入学すると麻布文庫の「江原素六の生涯」と「麻布100年史」を手渡され。それを読み解くパワーがそもそもあるからなのだ。
☆100年史に関しては重さ5キロもある大著。右に出る校史本は他にないと言われているほどの編集力あるものでもある。
☆編集スタッフは学園の教師陣。読書というか読解リテラシーというか、この点に関しては、生徒も教師も凄まじいパワーの持ち主。図書館機能を有している記念館の混雑ぶりからもそのことはわかる。
☆麻布の特別教育活動に読書会がある。ここ数年は丸山真男の著作を読破してきたそうだ。ようやく読み終わり、今度はマックス・ウェーバーを読むという。
☆今日では社会学専攻でもない限り、一般の大学生は読まないだろう。しかし、マックス・ウェーバーを読まずして近代の矛盾を解くキーは見つからない。麻布らしいといえば麻布らしい。
☆ちなみに氷上校長は、南原繁の孫であり、丸山真男は南原繁の弟子である。もう一人の弟子は大塚久雄で、ウェーバー研究者。氷上校長自身が教養の塊である。
☆私は時々麻布の説明会は訪れる。しかしそれは学校の説明会に臨むというよりは、氷上校長の時代認識を拝聴しに参加するのだ。
☆一般には、時代認識と具体的な教育実践を意識して結びつけている学校や教師はあまりいない。もちろん社会評論を語りはするだろうが、それが目の前の授業にどのように浸透しているのかそんな展開を繰り広げる学校や教師は少ないだろう。
☆しかし、麻布はそこがつながっているのである。それをわかりやすく語ってくれるのが学園説明会であり、それについて氷上校長が詳しく論述してくれているのが「麻布の丘に」という広報誌なのである。最近では同学園のホームページでダウンロードできない。説明会の日に一部100円で販売しているので、購入に来るのである。
☆興味のある方は、ファイナル説明会が24日(土)にあるので、立ち寄ってみてはいかがだろう。ともあれ、氷上校長の論考の最後のパラグラフを紹介しておこう。
学校とは、時代の波を強烈にかぶり、時には翻弄されながらも、その現実をひきうけ、他方で、別の位相に立つ視点を失わず、未来に向かって開かれた「小世界」であり続けねばならない。この使命を成就する要諦は、生徒諸君のなかにある何ものかを「信じる」という、存外単純な人間観にあるのではないだろうか。
☆この学校とは麻布学園のことであるのは言うまでもない。
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