一日一言 新渡戸稲造【006】
一日一言 新渡戸稲造【005】のつづき。
☆12月7日 善言に耳を傾ける
良いことなら、たとえ子供の言うことであろうが、乞食が言ったことであろうが、また大きらいなかたきから伝わってきたものでも、耳をかたむけ、よくかみしめて味わえば、賢人の立派な言葉に値する。
☆色眼鏡で見ないようにとか、寛容であれということなのだろうが、なぜそれができないのかという理由がさらりと語られている。
☆同じことでも相手が違うと同じ内容だと判断できない。つまりひとは公平性を発揮しにくいものだと。
☆同じことでも相手に対する気持ちが違うと同じ内容だと判断できない。つまりひとは感情に左右されやすいと。
☆だから、真理は真理だということを見抜けないというのだろう。
☆おそらくこれは新渡戸稲造の時代の官尊民卑の実態があったがゆえに(もちろん今も続いている)、出てきた言葉だと思う。
☆官尊民卑から抜け出ることが官僚制度改革だし、政権交代した民主党の使命でもあるのだが、果たして新渡戸稲造のような境地に立っているだろうか。公平性とルサンチマン(恨み、嫉み、怨恨などの塊)克服が、真理は真理を見出す。
☆ところで、公平性を維持したり、ルサンチマン克服をするにはどうしたらよいのか。「耳をかたむけ、よくかみしめて味わえば」とあるが、これはいかなる事態なのか。それは今日の言葉ではわからない。
☆しかし、道徳的な態度を行いなさいというのとは明かに違う。「賢人の立派な言葉」であるかどうかチェックする作用のことを言っているのは確かだろう。
☆ならば「賢人」とはいかなる人材のことを言うのだろう。それも今日の言葉ではわからない。チェックするには基準(criteria)が必要だ。賢人の基準とはいかなるものだろう。おそらく本書全体を通してそれは見えてくるのだろう。そして本書を書いているのは新渡戸稲造であるから、賢人のロールモデルの1つは新渡戸自身でもあろう。
☆私学人の探究は、それゆえ大切なのだ。不透明・不確定な時代にあって、サバイブするには賢者の知恵やリーダーシップが必要だろうから。
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