受験市場から教育多層市場へ [01]
☆昨年のリーマンショック以来、これほど市場の意義が問い返されたことはないかもしれない。それまでは、理念や価値など相対的で、お金と商品が見えざる手で最適な交換が行われる。
☆あるいは、勝ち組と負け組がはっきりするけれど、その固定化はない。つねにオセロのように黒になったり白になったり。もしずっと負け組だったとしたら、それは自己責任だよというイメージだったのではないだろうか。
☆しかし、どうもそんな見えざる手はなかなか働かない阻害要因があるし、それが権威や権力をもち、自己責任すら稼働できない操作が行われているのではないかということに市民が気付き始めた時代が明快にやってきたのではないか。
☆政権交代はその兆しであってほしいが、どうもそうでもないというのが日本の識者の考え方らしいが、それも本当のところは怪しい。
☆それにどの産業も市場は単純でない。いくつもの次元の違う市場が重なっている。多層市場になっている。ただ、それが市場一般があるかのように、そこについては議論されてこなかったし、あるいは市場そのものがショートして多層構造を見えなくしていた可能性がある。
☆コントロールされていない市場もないし、コントロールをできるだけセイブしようという市場の働きも必ずある。したがって、同じ産業において、そのコントロールの度合いや方法によって、多層構造になっている。もともとそうなのだが、どこか1つの層のコントロールが強力な時、あたかも市場が1つしかないように見える。
☆そんなのは当然だと言われるとは思うが、教育という領域で、市場の多層性についてあまり論じられてこなかったと思う。
☆受験市場、教育市場、政策市場、私学市場(私立中高一貫校の市場)、大学市場、キャリアデザイン市場、認定試験市場、NPO市場など並べただけでも教育関連市場は多層である。しかし、今までは受験市場が串刺ししていたために、その違いが見えてこなかった。
☆しかし、長引く不況が、受験市場に動揺を与えた結果、他の市場の存在が見えてきたのである。
☆教育と市場の関係は、受験市場から教育多層市場へとシフトしているかのようだ。そんなことについて、うだうだ今年を振り返り、来年の教育と市場の関係がどうなるか考えてみたい。(つづく)
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