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私学市場の意義[12]

私学市場の意義[11]のつづき。

☆東京私学教育研究所「所報74号」には、平田オリザさんの講演録が収録されている。演題は「国語科解体」。なんて刺激的な主題なのだろう。

☆とはいえ、現状の国語科の学習指導要領や授業を直接批判的に検討しているわけではない。

☆平田さんは、劇作家で演出家、そして大阪大学のコミュニケーションデザイン・センター教授。その立場から、ことばの府である国語科を代表して、日本の教育全体がことばを学ぶ新しい方法があるよと提案しているのである。

☆この視点は、実のところ東京私学教育研究所自身が久しい間、基礎学力研究をし続けてきていて「ことば力」の新たな展開を提案し続けていることとシンクロしている。それゆえ、本研究所の主催する「文系教科研究会」に招かれたのだろう。

☆平田さんが考えるコミュニケーションとはどういうものだろう。

いいコミュニケーションというのは、基本的に、・・・子どものコンテクストで発せられるシグナルを受けとめて、さらに、“受けとめているよ”ということをきちんと形として返してあげるのがいいコミュニケーションだと一般的にいわれています。

☆一般化はできないけれど、コンテクストを読む、シグナルを感じる、受けとめているよというシグナルを表すのがよいコミュニケーションだと。

☆そしてコミュニケーションデザインですから、そういうコミュニケーションがとりやすい人間関係をデザインする、空間をデザインする、交通をデザインする、都市をデザインする・・・という複雑系をデザインするようだ。

☆つまり最後は社会という組織をデザインする。学校も組織である。組織はつまるところコミュニケーション・システム。

☆ということは受験市場には受験市場のコミュニケーション・システムがあり、教育産業には教育産業のコミュニケーション・システムがあり、企業には企業のコミュニケーション・システムがあり、私学市場には私学市場のコミュニケーション・システムがある。

☆さてどのシステムが子どもたちにとって幸せなシステムなのだろう。それは言うまでもないだろう。

☆それで、幸せなシステムではないコミュニケーションはどうすればよいか。ここで平田教授の出番である。デザインとはDE-SIGNである。記号(SIGN)を解体する(DE)のである。

☆というわけで、「国語科解体」なのである。教育の記号を脱構築するのは、平田教授ばかりではなく、私立学校もそうだ。なぜなら完璧なシステムなど存在しない。

☆常に脱構築の探究と冒険に出でよ。それが私学市場なのだ。

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