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白梅学園清修の教育の挑戦

昨日18日、白梅学園清修中学校は「思春期の子育て講演会」を開催した。講演者は、白梅学園大学・短期大学学長汐見稔幸教授。

Pc180739 ☆汐見教授は東大の教育学部で長い間研究している一方で、東京大学教育学部附属中等教育学校校長も務めていた。そしてご自身の子育ての中で息子をある新設(当時)私立中高一貫校に通わせていた経験ももつ。

☆講演会場は、大学の講義室で行われたが、80名を超える保護者が席を埋めた。身体の成長と心の成長のバランスがとれなくなり不安が訪れるのは、最近では年齢が低下していると言われている。また受験勉強によって知的な思考力が、自我の目覚めを引き起こし、自分なりにルールを主張し始める時期も早まっている。

☆思春期とは子どもが大人に成長する時期に不安と葛藤を生む時期で当たり前のプロセスだと汐見先生。しかし、マスコミや教育産業が、そこを煽りすぎるきらいも確かにある。だからそこを見抜いて、どのように子どもとコミュニケーションをとって、子どもの成長をサポートしていけばよいのか。そのヒントについて、2時間を過ぎる講演が行われた。

☆しかし、汐見先生のご家族の体験談をはさみながらのトークはおもしろかった。笑いと納得の時間の流れはあっという間だった。特に、思春期に覚醒する子ども1人ひとりの才能を伸ばすカリキュラムが学習指導要領にないという指摘にはハッとさせられた。

☆自我の芽生えは、同時に他者から自分がどう見られているのかが気になることでもある。そのときファッションの豊かなセンスなどが生まれる。その感性を美的感性やアートの興味にまで成長させるカリキュラムがない。

☆「思春期学」が必要だという指摘は、教育学的にも腑に落ちるアイデアだが、何よりそのセーフティ・システムがないのだから親が不安になるのは当然という空気が会場に広がったのはある意味衝撃的だった。だから、そのセーフティ・システムのある学校探しが中学受験の真骨頂なのだ。

☆この講演会のプランをたてた広報の先生方は、新設校がゆえに、学校説明会は、どうしても大学進学実績を出すための教育システムの説明に終始してしまう。その教育システムがたんに大学受験のためだけのものではないことを強調するが、白梅学園の教育理念であるヒューマニズムに基づいた教育がにじみ出ているところまで説明する時間がとれないのが残念であると。

☆そこで、大学と連携してその教育背景を理解してもらう企画をたてたということのようだ。教育とは、子どもが自ら成長しようとするときに現れる壁を、自分の力で乗り越えられるようにサポートする環境そのもの。子どもが壁にぶつかるとき、不安と葛藤が生まれる。その状況に毎日隣りにいる親もどうしてよいかわからないことが多い。

☆その状況すべてを含んでともに助け合っていくリーダーシップやフォロワーシップをとっていくのが学校であり、J.J.ルソーのエミールに代表されるように、それがヒューマニズム。大学の学問的な知と中等教育のいわば臨床知のような教員の実践が連携してその教育環境を形成していける同学園の教育アドバンテージが表現された。

☆講演会に参加した保護者は、汐見先生の講演を鏡にして、自らの子育てを振り返り、気づきの多いひと時を過ごしたことだろう。白梅学園清修の教育理念に基づいた思春期学宣言が謳われた講演会だった。

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