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クオリティスクールの新コンセプト[001]

☆クオリティスクールをクオリティスコアと偏差値(大学進学実績)の座標系で記述してきたが、どうもシンプルではない。いろいろなところで説明しようとすると、それだけで相当時間が費やされるから、つい座標とスコアのグラフをパワーポイントで映すだけで、説明が不十分なまま終わってしまうことが多かった。

☆もっとシンプルで、だれでも使えるクオリティスクールの考え方はないか昨年中うだうだ考えてきた。二次元から三次元にして考察してみたりしたが、さらに複雑になってしまった。それに、偏差値を使わないで表現する方法はないか・・・などなどと・・・。

☆年末年始にかけて市場という視覚から私学をみれば、何か気づきがあるかもしれないと思い、「受験市場から教育多層市場へ」についてと題して考えてみた。実際に昨年、小学校低学年の生徒、中高生、大学生、教育産業のスタッフ、私学の先生方々と研修や勉強会を通じて、それぞれの立場をそれぞれの市場においてみて、その違いを抽象的に整理しようとしたが、結果的に複雑になってしまったかもしれない。

☆しかし、そこでCCP(クリエイティブ・コミュニケーション・プロジェクト)なるシステムが十全に働くことが重要だということだけは再確認できたように思う。

☆しかもこのCCPシステムは、私立中高一貫校では当たり前の暗黙知として存在している場合が多く、他の初等中等教育機関では、以外にもCCPを作動してこなかった(あるいはできなかった)歴史的条件があるらしいことも確認できた。

☆来週から首都圏では、埼玉の私立中高一貫校の中学受験が始まる。倍率速報などから今春の中学受験のリサーチにはいらねばならないので、いったん未了という形で終えた。しかし、久しぶりに昨年の夏ごろ国語の入試問題の考え方について対話した受験生に会ったり、パパになりましたという年賀状を送ってくれたもう20年ぐらい前の獣医になった教え子や医学関係の研究をしていて充実していますよという年賀状を送ってくれた教え子の当時の学びの姿を思い出したりしているうちに、CCPベースの学びのコンセプトがシンプルにまとまったような気がした。

Ccp_school ☆そこで、それを図のようにしてみたが、「CCPベースX」のXには、生徒、保護者、家族、教師、自治体、学校、社会、国家、世界が入ることにも気づいた。幸せの方程式は意外にもシンプルではないか。

☆久しぶりに対話した受験生の対話の成長ぶりに、教え子たちの思考力と行動力の成長ぶりに出遭って、そうだ思考と行為の関係の広がりこそ成長なのだと実感した。なんてことだ。知合一じゃないか。陽明学、そして水戸学・・・。なんと≪私学の系譜≫の1つの流れだ。麻布出身の小島毅東大准教授の「近代日本の陽明学」がこんなところにつながるとは。それに新渡戸稲造の発想も・・・。

☆新ブルーム派は、認知と知識のマトリクスを描く、ハーバーマスやコールバーグは、道徳とコミュニケーションのマトリクスを描く、エリクソンは年齢と精神の発達のマトリクスを描く。ピアジェは知と年齢のマトリクスを描いた。

☆J.デューイは体験と知の弁証法。しかし、マトリクス表にまではしなかったか。ハワード・ガードナーはマルチプル・インテリジェンス(MI)で、思考と行為を8つにバラバラにしてしまったから、その統合の仕方は見えなくなった。J.S.ブルーナーや寺田寅彦は、身近なところに知の最前線と同構造があると言ったが、そのループはどうやって発見するかはマトリクスになっていなかった。ダグラス・ホッフスタッターは、ゲーデルとエッシャーとバッハそしてなんと自分を結び付ける不思議な環を見つけようとしているが、それはメタファーの連続以上の何ものでもない。無限に続くメタファーをいかに発見するかは天才的な閃き・・・。OECD/PISAのマトリクスは、知そのものを強引にカテゴリー分けして、配列してかけ合わせているから、まさにエッシャーさながらの堂々巡り。

☆シーモア・パパートの3Xは、クリエイティブなコミュニケーションのプロセスではあるが、それだけではクリエイティブ・コミュニケーションの広がりや深さのレベルは測定できない。アラン・ケイの生き様そのものはパーフェクトなクリエイティブ・コミュニケーション。彼の思考力ともの作りの行為はすでに高度な暗黙知になっているから、それをいったん形式知で見通す必要があるが、それはもちろんされていない。うだうだ・・・・・フーガは謎を探せる視点をもっていれば楽しいけれど、そうでなければ退屈・・・。のだめのようにキラキラ星変奏曲を解釈できるアナリーゼと同様なものがなければ、感動すらできない・・・・・・。果たして、新しい年がやってくるのだろうか・・・・・・。

☆と、そんなときに、私学入門直前の受験生と私学を卒業してモチベーションの高い人生をおくっている教え子が、知行合一の広がりを突き付けてくれた。麻布に進学したかつての教え子が、「なにやってるんすか。うだうだ書いているより、授業のあのときの対話の方がおもしろかったすよ」と電話の向こうで言っていたが、まあそういうことだったのだと今さら・・・。

☆ともあれ、このシンプルなCCP based Schoolのコンセプトに従って、学校を分析してみれば、よいのだ。クオリティスクールとはCCP based Schoolのことなのだとすると、偏差値も大学進学実績も気にならない。CCP based Schoolならば、いずれ偏差値もあがるし大学進学実績もでるのだから。

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