クオリティスクールの新コンセプト[007]
クオリティスクールの新コンセプト[006] のつづき。
☆前回、フェリス女学院について話題にしたが、フェリスの併願についても少し考えてみたい。というのも、四谷大塚の第4回目の合不合判定テストの最終資料を眺めていて、フェリスの併願が、神奈川エリアの私立学校の飛躍のトリガーになるのではないかと今さらながら感じたからなのだ。
☆フェリスの併願は、「浦和明けの星―鎌倉女学院―横浜共立B―鎌倉女学院②―頌栄女子学院②」という流れが一番多いのだろうか。そのほかに鴎友学園女子、慶應中等部、田園調布、洗足学園などの併願も多い。
☆注目すべきは鎌倉女学院である。フェリスと併願することによって、鎌倉女学院に進学する生徒は、入学前に相当きっちり知識を覚え、なおかつ思考力と想像力を養うトレーニングを積むことになるからだ。
☆併願するときに、思考力や想像力を養う問題を出題する学校を選択しておくと、中学に入学する前から学力デフォルトの水準が高くなる。これは入学した学校の力を飛躍させるきっかけにもなる。
☆中学入試問題の創意工夫を、すべての学校が実施した方が望ましいが、現実にはなかなか難しい。しかし、併願の仕方によって、その不足を補うことができる。
☆併願は生徒にとっても学校にとっても、中学受験でどのような力を身につけてくるかの環境であるとも考えることができる。
☆鎌倉女学院のように神奈川エリアの他の女子校も、併願校にフェリスを選ぶように流れをつくってみてはどうだろうか。
☆横浜共立の二回目のテストも、フェリスに万が一のことがあったら、横浜共立にという考え方なのだろうが、そうではなく、横浜共立に進むのにフェリスに進学するメンバーと同程度の知の水準を身につけておこうという構えで併願を仕組むというのもありではないだろうか。
☆もっともそのためには、横浜共立の募集定員を、AもBも90人にしなければならないだろうが。するとAの偏差値はぐんと上昇し、フェリスと横浜共立を偏差値で選択するのではなく、教育の特色の違いや雰囲気の差異で選択するようになるだろう。
☆横浜女学院Aは15時以降からの始まる午後入試。午前中はすぐ近くのフェリスを受験することが可能だ。
☆横浜女学院を受験するならフェリスも受験するという生徒が50%占めるようになったら、かつての鎌倉女学院がそうだったように、横浜女学院の急激な飛躍は火を見るよりも明らかだ。
☆そうなれば、フェリス、横浜女学院、横浜共立、横浜雙葉が隣接する山手エリアは、キリスト教系の女子教育の私学市場の重要な拠点になるだろう。このエリアが受験市場を近づけない聖なる私学市場の拠点になることによって、来るべきエゴどうしの葛藤の時代風潮、エディプスのゴースト闊歩、目先の利潤追求主義の嵐に対し大事なものを守る丘の上の教会に再びなるだろう。
☆何を馬鹿げたと思ったならば、それは受験市場のフィルターでみているからだ。丘の上の・・・という表現で気づく人は、全く別のフィルターで見ている人。山手エリアのキリスト教系の学校は、後者のものの見方を優先するだろう。
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