クオリティスクールの新コンセプト[039]
クオリティスクールの新コンセプト[038]立教女学院と女子聖学院のつづき。
☆世界同時不況の影響はすさまじい。中学受験にも影響がないわけではない。この不況は大量生産・大量消費とともに大量移動にもストップをかけている。総務省によると3大都市圏の転入超過の動きも急激なダウン。(グラフは総務省ページから)
☆したがって、この不況を脱すれば世の中良くなるし、中学受験も再び上向くだろう、という楽観主義的見通しをは業界は立てていない。
☆デフレスパイラル以前に、少子高齢化の影響はどうしようもないところまできているからだ。総務省の人口構造の推移をみるまでもないが、0歳から14歳までの人口は減る一方である。(グラフは総務省ページから)
☆従来のGDP重視の経済成長の枠組みでは、人口の数は重要であるから、企業が海外に、特に中国を中心とするアジアに目を向けるのも当然である。
☆したがって、ここ数年は量から質と言いながら、海外にシフトする企業や政府の戦略をコントロールするリーダーを輩出する現実的教育を行える私立学校(エリートスクール)と質に転換するアイデアを出せるクリエイティブ・クラスを輩出する教育を実行していくクオリティ・スクールに注目が集まっていくことだろう。
☆そのどちらでもない学校は、生徒が集まらなくなる。
☆そして当面は、目先の量から質へシフトする途中のステージをターゲットにあてる徹底したエリートスクールが安定することになるだろう。
☆クオリティスクールは、目先の利益にこだわる時代の気分の中で、賛同者共鳴者をうまく獲得できるかにかかっている。なんといっても2050年にならなければ、その成果が明確に表れないわけであるから、相当なフンバリと覚悟が必要である。
☆過去にこだわる学校は衰退し、現代にこだわる学校は未来がない。未来を志向する学校は、いまここでは常に厳しい局面を迎えるが、そのつど壁をぶち破っていくチームプレイとクリエイティブな行為で満ちている。
☆そうはいっても、今はどうでもよいというわけではもちろんない。未来から今を考えるのは当然である。
☆量から質の過渡的な時代、それぞれの私立学校がどういうサバイバル戦略を考案するか?そのモデルが巣鴨中かもしれない。2000年以降の応募者総数の推移を見てみると、隔年現象のために上下があったり、東大の合格者実績による影響はあるものの、平均して1,055人は常時集まっているからである。
☆表向きはエリートスクールの典型であるが、その内実はエクセレントスクールなのかもしれない。受験市場に対する顔と私学市場の顔が違う可能性があるからだ。その微妙な差異をどう演出するか、ロールプレイするかは研究に値するだろう。
☆ただし、今度は受験市場が私学市場側にすりよる時代でもある。戦略としての演戯の仕方も変わる。それゆえ、今のうちに研究しておかねばならないだろう。
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