一日一言 新渡戸稲造【057】
一日一言 新渡戸稲造【056】のつづき。
☆1月27日 男らしきことは優しこと
・・・・・・・文武の道に秀でた青年であった右大臣実朝は、他の人々の怨みの犠牲になって、はかなくも殺されたけれど、彼の想いのほどは、その和歌に込められており、その自然観、その人生観は、男らしくして柔軟で、潔く忠実な志は、今なお、人の心の励みとなる。
☆一見男性讃歌であるが、それは違うだろう。新渡戸稲造の生きた時代に、いや今の時代もそうだが、どれほど男が自分の志ではない他者の志に従順にならざるを得ず、そのポジショニングから自由になれず、頑迷固陋で保守的、リスク隠ぺい主義で忠実でないか。
☆だから実朝のような生きる道を示唆したのであろう。実朝が目指したところこそ、憐みの情と自らの意志の両方のバランスが取れている世界、つまりなんて近代的な自然状態の設定だろう。
☆この設定はもちろん実朝がしたのではなく、近代化路線を武士道に重ね合わせ、不易流行を演出しようという新渡戸稲造の戦略であったのではないか。
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