受験市場から教育多層市場へ [08]
受験市場から教育多層市場へ [07]のつづき。
☆さらにある盟友が、大笑いしながら、慶應大学総合政策学部の2008年の小論文の問題を提供してくれた。「おじさんの日頃のこだわりが、凝縮していて、ちょっと慶應的ではない問題だと思うけど、こだわりが役に立つと直感できるような問題だよ」と。
☆次の4つの資料を読んで、2つの問いを考える問題。
資料1 カント「教育学」から
資料2 J.デューイ「学校と社会」から
資料3 ハンナ・アーレント「過去と未来の間―政治思想への8試論―」から
資料4 「日本語」谷川俊太郎編から問1 教育する者と学習する者の関係について、資料1・2・3のそれぞれから読み取れるカント、デューイ、ハンナ・アーレントの考え方は、どのような点で共通し、どのような点で食い違ったり、対立したりしていますか。900字以内で記しなさい。
問2 教育する者と学習する者の関係をめぐって、資料1・2・3を参照しつつ、資料4についてのあなたの考えを600字以内で記しなさい。
☆これも受験市場的には、各資料の要約とあとはコンパラティブ・スタディー的な整理でOKなのだが、私学市場的には、教師と生徒の関係(A軸)を、権威的か批判的か(B軸)でタイプ別にしてみる。
☆権威的といっても権力という意味に振れる場合と、尊重という意味に針が振れる場合があるし、批判的といっても非難的という意味に近い場合と、革命的という意味に近い場合があり、初めからその要素を入れて整理しようとすると、あまりに複雑になるので、まずはA、Bの2軸ぐらいで整理してみる。
☆それだけでも図表のように、2の4乗通りになる。それぞれの場合をどう説明できるか。この説明がし終わったとしたら、それ自体がクリエイティブ・コミュニケーションの質の差が見えることになるなるのだが、それはともかく、あとはこれをさらに入れ子状態で分類していくと、2のn乗通りになっていくことがわかる。
☆文章というテキストから考えるより、関数的な仮説から考える方がシンプルだけれど思考は広がる。数学的思考が総合政策の問題を解くときに役に立つ。受験市場的にはここまで受験勉強ではやらないだろう。しかし、私学市場的にはここまでやる。すると、応用が利くようになるのだ。
☆そして「数学ガール」ではないが、数学は厳密な言語モデルで、定義が大事だが、定義は誰が決めるのか?教科書ではないのだ。議論の中で決まるのだ。なぜノルウェーの裁判制度を日本はモデルとして裁判員制度に仕立て上げたのか。それは議論の本位にあったのだ。
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