受験市場から教育多層市場へ [未了]
受験市場から教育多層市場へ [14]のつづき。
☆中学受験のシーズンに突入するため、このシリーズはまだまだ途中だが、今回でいったん終えることにする。
☆受験市場の中でも、私立中学校一貫校の入試問題を深く眺めれば、私学市場とカップリングできる接点が見いだせる。
☆教育市場も、「知識基盤社会」がいまだ言葉だけで20世紀型社会構造とパラダイムが変わっていないということに気づき、本来想定されている「知識基盤社会」にシフトすることを支援するというスタンドポイントに位置すれば、私学市場とカップリングできる接点が見いだせる。
☆政策市場も、学習指導要領が、まだまだ国際社会が進めている本来の「知識基盤社会」形成の知に対応していないことに気づけば、私学市場とカップリングできる接点を見いだせる。
☆家族市場も、家族の構造が変化していることに気づけば、私学市場とカップリングできる接点が見いだせる。
☆大学市場は、慶應大総合政策の小論文のような入試問題をもっと作成する。しかし、それだけでは足りない。あるオブジェやデータに対し、客観的にとらえる力と主観的にとらえる力と相互主観的にとらえる力を見る問題を開発すること。それに空間(精神的にも物理的にも)をデザインする力を見る問題を開発すること。さらに高大接続テストとか大学センター試験以外に、受験市場や教育市場で行われている模擬試験の成績を積極的に活用するようにする。すると私学市場とカップリングできる接点が見いだせる。
☆評価は包括的評価から形成的評価にシフトしていく。それにはインターネットとサイトの活用が重要。ブログのように簡易に活用できる形成的評価システムをつくると、サイト市場は私学市場とカップリングできるし、大学市場ともあっという間につながるだろう。ということは受験市場や教育市場にも。
☆広告市場は、生徒の成長段階を、たとえば新ブルーム派やコールバーグ、ハーバーマス、ハワード・ガードナーのような思考過程を通して表現できるようにすると私学市場とカップリングできる接点を見いだせるだろう。そうなると大学市場と広告市場のカップリングも再び活況を帯びるだろう。
☆私学市場は、以上のような多様多層教育市場とつながるためのリスクマネジメントをより強化していけば、サバイブできる。
☆リスクマネジメントと危機管理は実は同意語ではなく、リスクマネジメントのサブシステムが危機管理である。もし受験市場とつながることが危ういからといって、リスク回避という危機管理をしつづけると、生徒が集まらなくなる。
☆では、受験市場とがっつり組むとどうなるか、教育理念は無化してしまうという危機に直面するだろう。1つの市場のリスク選好という危機管理に固執すると結局は危機を招く。
☆リスク回避とリスク選好はバランスが大事なのだ。だからあらゆる市場とどのようにカップリングするかは、リスクマネジメントの領域。危機管理はリスクマネジメントの手段に過ぎない。手段と大きな目的の転倒は危機を招く。
☆リスクマネジメントの言語システムこそCCP(クリエイティブ・コミュニケーション・プロジェクト)によって常にチェックされる必要がある。
☆私立中高一貫校におけるリスクマネジメントは、もちろん教育と経営の両面にある。経営に無関心な教育は危機を招く。経営に無関心な教育は危機を招く。多様多層教育市場のつながりを無視する教育は、コミュニケーション不全症候群を生みだす。多様多層教育市場を無視する経営もまた同じである。
☆次元や領域が多様多層である中でサバイブするには、CCPというプロジェクトを開設・運営していくしかないのである。そしてそれが、本当の意味で「知識基盤社会」を形成していく力となるのである。私立中高一貫校のミッションがいかに重要であるか、そういう歴史的局面にぶつかる時が来たというコトなのではないか。
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