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クオリティスクールの新コンセプト[057] 今後は本物教育のアピールが大事

クオリティスクールの新コンセプト[056] 入学手続きの結果のつづき。

☆教育クオリティの高い女子聖学院の応募者総数の減り方が少し気になる。新築校舎建築以前の応募者総数に戻っただけで、入学手続き者そのものには影響はないかもしれないが、気にならないとは言えない。

☆ディベートやフィールドワークの創造的な学びのプログラムを実行しているし、村治佳織さんがこの空間で演奏をしたいと思い、女子聖学院受験を決めたというチャペルは、今も学びの拠点である。

☆教育空間も、対話や探究が生まれる生態学的空間で、訪れた者を魅惑するに十分である。

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☆にもかかわらず、この減り方は、不況や少子化だけの影響のようには思えない。日能研の合格者は57名だから、同塾には、そのような情報はきちんと伝わっているのだろうが、SAPIXは、5名。かつては10人以上合格者が出ていたのに、半減。SAPIXの勢いからみて、受験してうまくいかなかったということはないだろうから、選択するグループがSAPIXの中で減ったということだろう。

☆受験市場という港に停泊してる将来の受験生(保護者)にグッとくるプレゼンができなくなっている可能性がある。日能研の場合だと、学校情報は豊富だから、いろいろな角度の情報を入手できる。

☆しかし、SAPIXは、おそらく学校説明会と同程度の情報がベースだろうから、受験生と保護者が実際に足を運んで、直接感じたことに基づいて受験生や保護者が選択判断をするのに任せる傾向にあると思う。

☆学校側が本物教育をアピールできない時、結局偏差値と大学進学実績しか差異を伝えられないから、実はそれだけではないですよという情報支援がない限り、選択肢に残らなくなる可能性がある。この情報支援は、マスコミをはじめ受験市場では得にくくなっている。不況がゆえに、情報部署やシンクタンクに予算が回らないのが、企業のセオリーだからだ。

☆そういう意味では間接的に不況の影響を大きく受けたということにはなる。私学市場側からの自らの本物教育の本格的アピールをしなければならない時代がやってきたのだろう。

☆1997年、98・99年の私学危機の前夜に、女子聖学院チャペルでサットマリー氏が演奏したCDがあるが、そこにはJ.S.バッハの作品『われらが神は堅き砦』(Ein feste Burg ist unser Gott)が収められている。

☆このテーマは讃美歌創作者でもあたマルティン・ルターのものである。そしてメンデルスゾーンも交響曲5番の最終楽章で使っているが、このシンフォニーには名前がついている。その名も「宗教改革」である。女子聖学院の教育の質に変わりはない。余計なお世話かもしれないが、本物の教育出動を期待している。

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