クオリティスクールの新コンセプト[062] なおも挑戦する鴎友学園女子
クオリティスクールの新コンセプト[061] 来春に向け動き出した女子校のつづき。
☆鴎友学園女子は、その大学合格実績からいって、もはや何も新たなことをしなくても生徒が集まってくるポジションに位置している。規模的にも、3回入試で1,300人集まれば、質量ともに十分なはずである。
☆今年も安定してそのぐらい集まっているし、合格者数の出した方もほぼ昨年と同じだから、やはり生徒獲得戦略は成功を収めているだろう。
☆にもかかわらず、新たな教育活動をどんどん実施している。生徒1人ひとりと真剣勝負をする毎日の中で、新たな教育活動は、教師にとって負担にならないのだろうかと、余計な心配をしてまうほどだ。
☆その教育活動の中で、注目すべきは、「女子校の未来を拓く」ために行っている「女子教育連続講演会」である。鴎友学園創立70/75周年記念事業として行われているのだが、1つの私立学校が、女子教育の根本について探究し続けるというのは、たいへんなエネルギーのいることである。
☆共学校の人気の中にあって、ただひとり挑戦していくという決断に驚愕せざるを得ない。
第4回 2月20日(土)15時~17時
真橋美智子先生(日本女子大学人間社会学部教授)
演題「女子校の歴史的役割と今後への期待」第5回 2月27日(土)15時~17時
中村立子先生(日本女性技術者フォーラム運営委員長、鴎友学園評議員)
演題「女性の能力を活かすための職域拡大へ向けて
-女子生徒への積極的な理系進路選択支援を考える-」
☆どちらも興味深いテーマである。日本でも、21世紀は女性の時代だといわれて久しいが、少子高齢化社会にあって、男性労働力の代替力に偏って展開しているのではないかと思わざるを得ない状況が続いている。
☆もっと女性の神話が生まれるぐらい、男性中心社会の神話を崩すアイデアや動きが出てもよいのではないかと思う。内村鑑三に共鳴し支える女性ではなく、内村鑑三を超える思想と行動力をもった女性の出現である。
☆フロイドも現代思想も、思春期学も、未だ男性のための神話がメタファーになっている。この神話を解き放つ新しい神話の創造が女性から生まれ出てもよいころではないか。
☆注目に値する大学進学実績がでつづけても、なおそのような探求を続けている鴎友学園女子。考えてみれば、大学進学実績を競う発想自体、男性中心主義的発想かもしれない。鴎友学園女子がなおも新たな挑戦をするのは、そういういことなのか。女子教育連続講演会の意味がわかったような気がする。
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