クオリティスクールの新コンセプト[067] 白梅学園の核の精神
クオリティスクールの新コンセプト[066] 八雲学園の未来性のつづき。
☆新設して5年目を迎える白梅学園清修中高一貫部。今年の生徒募集戦略は、目の前の結果を重視する風潮を生みだしている不況に加え、公立中高一貫校や新設の私立中学に取り囲まれ、厳しい情況の中、半ば成功し、半ば来春への捲土重来となった。
☆生徒総応募者数は、前年対比135.7%であるから、半ば成功。しかし、定員60名に対し、試験を5回実施しているわけだから、600名以上の総応募者数がなければ、質量ともに定員を充足するのは不安定である。そういう意味で捲土重来。
☆しかしながら、清修の先生方は今後の勝算を確信している。1期生から4期生までの生徒たちといっしょにリベラルアーツ的な広義の教育を積み上げる中で、クリエイティブクラス型の人材が世界を席巻しているのを目撃してきたからだ。
☆学歴エリートのようなファーストクラスの人材は、ガラパゴス日本ではまだ優秀だが、世界ではフラットなポジショニングに位置してしまう。それより自分が何を感じ、何を考えているかを共有し、協力して新しい概念やものを創造していくクリエイティブなコミュニケーションができることが、今後は何より重要なのである。
☆しかし、そのような時代認識はこの閉塞状況を打破できない日本社会ではまだまだ遅れている。だから、このクリエイティブクラスの重要性に気づき、清修の教育に共鳴するファン層はまだそれほど多いとは言えない。ファン層を重視している先生方は、時流に負けて応募者数を増やすことだけに偏らないように、口コミ重視で進みたいとフンバッテいる。
☆その質を重視し、クリエイティブクラスを生みだす良質教育の結実が、昨日(2010年2月19日)、所沢市民文化センター・ミューズで行われた「2010清修スピーチ&プレゼンテーションコンテスト」だ。
☆第1部は、日本語スピーチと英語オリジナルスピーチ、英語レシテーションで、探究活動の成果を発表。第2部は、パフォーマンスで、ドラマやダンス、合奏、歌で感情表現。
☆左脳と右脳、知と心と身体の統合された清修の教育活動の成果が表現された。娘の成長に保護者は驚き、自由でのびのびとしたアーティスティックなパフォーマンスに感動した。
☆清修生は、いろいろな経験を積んできた。そして学年が進むにつれ、自分たちで協力してイベントを運営していく経験値をあげてきた。また国連(ウィーン)やEU議会に訪れ、世界に向けてプレゼンテーションをする姿を直接見てきた。
☆銅メダルを獲得した高橋選手の生きざまが多くの青少年に勇気を与えロールモデルになるように、世界には多種多様な人生のモデルやメタファーがある。そして自分にぴったり合うモデルは必ずしも皆とは同じではない。だから、読書し旅をする。そういう多くの経験を教育の中に取り入れているのが清修の教育。
☆今回の「2010清修スピーチ&プレゼンテーションコンテスト」も生徒達自身が運営した。第1部は、国連やEU議会での代表の演説がモデルである。第2部は、欧米の学校のパーティ文化がモデル。第1部は集中とロジック、第2部は開放とアートというコントラスが演出されていた。
☆それにイギリス研修に行ってピンときたのか、向こうの中高生は、アメリカのポップスや映画が大好きであるが、同時に感動的なコーラスも行う。ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの精神は、イギリスのパブリックスクールから、ポップスとコーラスの遊びと学びはイギリスの文化から、民主主義的イベント運営とプレゼンテーションはEUから(これは清修の理念に影響を与えた大正デモクラシーの根っこ)見事に学んでいる。
☆生徒のパフォーマンスを見守る若い社会の男性教師は、思わず「僕もギターをもって参入したいのですが・・・、ここは見守るのが肝心ですから」と、才能を伸ばす教師のフンバリどころをもらした。一般に生徒と教師の距離というのは難しい。しかし、生徒1人ひとりの才能を見出し、伸ばすには試行錯誤を見守れる距離がポイント。清修の創造的コミュニケーションの奥義が少し見えた瞬間だった。
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