クオリティスクールの新コンセプト[068] 私学の学び様々 その表現の競争時代到来
クオリティスクールの新コンセプト[068] 学校説明会が始まったのつづき。
☆各学校のサイトを訪れると、中学入試に関連するニュースはいち段落したようすである。3月中旬になれば、今度は大学入試結果のニュースが流れるだろう。
☆入口のニュースと出口のニュースがいっぺんに溢れるのが、2月・3月の時期であるが、私立中高一貫校は入り口と出口だけではない。もっとも重要なのはその間の6年間の教育活動である。
☆学校選択の指標の一部である偏差値や大学合格実績は、入り口と出口だけの話だ。6年間の教育活動が学校選択の重要な指標であることは、意外と忘れられているのが、受験市場。私学市場はやはりなんといってもそのプロセスである教育活動である。
☆ところが、そのプロセスというのは実に見えない部分でもある。このプロセスの中で、子どもたちは壁にぶつかり悩み葛藤し乗り越えようとする。しかもグローバリゼーションの時代は、良かれ悪しかれ、世界の不気味な情報や破格の夢を子どもたちの日常に持ち込んでしまう。
☆閉鎖的な文科省の学習指導要領の知識の習得ぐらいでは、乗り越えられない壁や夢が子どもたちを囲む。大学入試は、まだまだこの閉鎖的な知識の習得でパスできるところが多いが、それだけでは大学に入ってからの探究活動に追い付けない。
☆中高時代から広い視野深い思考という探究活動の基礎基本を身に染み込ませておくことが学びのリスクマネジメントである。
☆今までは、私立中高一貫校の教育活動の表現は、パンフレットなどの紙媒体や実際に足を運ぶ学校説明会が中心だった。字数や紙片、場所や時間の制限があるから、どうしても教育活動の一部分だけが強調されてきた。しかもそのプロセスは、日々リアルタイムに更新されるため、結局何をやっているかだけしか伝えられなかった。
☆ところが同じ体験学習でも、それぞれの学校の個性がでるものである。そこを知りたいというのが学校選択者側の希望であるのだが、紙媒体と学校説明会では、やはり限界はある。
☆しかし、Web環境の世界的な浸透によって、リアルタイムに教育活動をサイトで表現できるようになった。この世界同時不況もあって、サイトのメディアのシェアが、新聞やテレビを抜きつつある。
☆この従来の媒体に比べると相対的にリアルタイムなサイトを、教師自身が学校サイト内に埋め込まれたブログで発信し始めた。
☆これまでは、更新率が低かったり、写真だけ貼り付けて終わりというものが少なくなく、表現力は圧倒的に紙媒体と学校説明会に軍配があがっていたが、最近では学びの中で生徒のプレゼンテーションやショートエッセイを指導する機会が多くなり、その方法論を活用して表現する動きが起きている。
☆論文というよりスピーチ原稿のようなライティングメソッドが使われていると思うが、とにかくおもしろい。まだまだ一般的な用語で説明されているので、たとえば、同じ合唱コンクールの説明を読むと、学校の特色の差異がわかりにくい。それでも教師自身が撮影した写真が載っているので、それぞれの学校の教師の目の付けどころの違いが出ていておもしろい。
☆パンフレットなどの写真は、プロのカメラマンが撮る。きれいだし、ダイナミックだし、商品価値が高い。しかし、教師の目線はそこにはない。
☆教育活動とは、実証×方法×理念の総合活動である。実証の仕方や学びの方法、そして理念が、それぞれの私立学校で違い、その差異が質の違いでもある。だから、教師自身が表現すると、その違いが出てくる。まさに質の競争の時代が到来したわけだ。
☆教師がそんなに表現していたら、生徒の面倒を見ることができないのではないか?もしそんなことを言う学校経営者がいたとしたら、それはちと違う。ブログで表現する時間は短い。しかもパラグラフライティングのトレーニングでもある。このトレーニングは日常のコミュニケーションの中で、生徒に簡明・明快・感銘の三拍子そろったメッセージを送るのに大いに役立つ。
☆しかも表現することで自らの活動を整理することができるし、なんといっても省察できるのである。教育活動は知的総合活動である。知がばらばらでは、活用できない。知は発想の連鎖反応であり、それが加速度や密度を高くする。そのトレーニングとして表現の機会は多ければ多いほどよいのだ。
☆たしかに、生徒1人ひとりのノートやレポートにコメントやメッセージを書き込むのに膨大な時間が費やされているから、サイトなんて書いている時間はないと思われるかもしれないが、そういう学校ほどサイトの更新率は高い。
☆表現には、書きたいと思うような内容と意欲が大前提。書きたいことがないのに表現できるはずがないのだ。教師が生徒と知的にかかわればかかわるほど、表現したいコンテンツが増えるものなのである。
☆更新率の高い私立中高一貫校サイトは、たとえば次の通り。ご覧あれ。
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