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2010中学受験市場[08] 日能研 vs SAPIX ⑥

2010中学受験市場[07] 偏差値で学校を選ばないで偏差値を活用するのつづき。

☆ここ数年SAPIXのいわゆる御三家クラスの合格実績がよいので、受験市場では、そのクラスに入学させたいと志望する消費者がSAPIXに集まっている。これは市場の原理としては当然である。

☆しかし、そのクラスの学校の定員は決まっているわけだし、受験生のおよそ5%ぐらいしかそのクラスの私学には入学できないのであるから、SAPIXが企業方針でも大転換させない限り、だいたい両塾の拮抗状態は、このぐらいなのではないだろうか。両塾の特色が結果的にはっきりしたのかもしれない。

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☆明日11日の招集日で大きく動くので、その前日の実績数字を比較表にしておこう。この表を見てわかることだが、開成・筑駒・栄光・慶應グループ・桜蔭・渋谷教育渋谷は、SAPIXが圧倒している。そしてその併願校である海城・巣鴨・豊島岡女子もSAPIXが圧倒している。

☆要するに中学受験市場の中でも、いわゆる将来東大・医学部に最も近い、俗っぽく言うと、ファーストクラスの市場の原理ではSAPIXが優位に立っている。

☆しかし、麻布・武蔵というセット、駒場東邦・桐朋というセット、芝・本郷というセット、女子学院・雙葉・フェリスというセット、早稲田・早稲田高等学院中学部・早稲田実業というセットで考えると、互角だし、あるいは両塾の消費者の選択志向性・嗜好性の違いがはっきりわかる。

☆そして聖学院・八雲学園・横浜女学院・かえつ有明・公文国際のように、将来の男子校、女子校、共学校の中で飛躍する学校では日能研が圧倒している。ここは情報の日能研の優位な点である。

☆学力情報だけではなく学校情報はまだまだ日能研にはかなわない。とくに一般的な受験市場の情報の取り扱い方は共時的で、通時的視点がないが、日能研の情報の収集と編集の仕方には、伝統的に共時的かつ通時的視点の統合がある。建学の精神から未来性を見通す情報収集力がある。世界の教育情報を収集する受験市場からすれば酔狂な複眼視角をもっている。

☆つまり、未来性のある学校はクリエイティブ・クラスを育成できる学校である。クリエイティブ・クラスの日能研、ファースト・クラスのSAPIXという特徴がはっきりした結果であったかもしれない。

☆そうそうファースト・クラスという見方は、あくまで受験市場であって、私学市場にあって、開成などはクリエイティブ・クラスを養成する学校だと思っていることは間違いない。

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