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「不安社会の親子関係」キャリアガイダンス30号を読もう

リクルートが発行している「キャリアガイダンス2010/2№30」の特集は「不安社会の親子関係」。

☆4回目の「高校生と保護者の進路に関する意識調査」の結果報告で、(社)全国高等学校PTA連合会と(株)リクルートが共同リサーチをしたもののようだ。

☆とにかく興味深い結果が並んでいるので、読んでみるとよいのではないだろうか。一般にこのあまり好ましくない状況と思われている不安社会をどのように身構えて生きていこうとしているのかがよく反映されている。

☆いかに先行きが不安か、そこにおいてどうしたらよいのか親子でいろいろな会話をしているというのが見える。

☆中には子供の進路に無関心であるという親子関係もあらわてくるが、実際にはなぜ無関心にならざるを得ないかということが重要なのか問い返してみるのも興味深い。

☆関心があろうとなかろうと、それは時代を超えた不安に対する反応ではない。たとえば、学力低下が進路を考える際に不安を抱かせるなどというような反応は、他者の目に左右されている。

☆ここには「誰にとっての」学力低下なのかという考察が抜けている。あるいは、未来の見通しが悪いから不安だという親も多い。

☆これも、しかし「誰にとっての」未来の見通しなのだろう・・・。

☆もともと未来など見通せるのだろうか。見通せるということは、「誰かにとって」都合のよい未来でしかないかもしれないではないか。

☆未来は創るものでしかない。それなのに創る前から、見通せないと言って不安がるということがあるとしたら、それは未来に対しての不安ではなく、他のものに対する不安なのかもしれない。

☆どんなにコミュニケーションをとっても親子関係は常に不安な社会において不安なものであるが、不安でない社会とはかつてあったのだろうか?

☆貧困格差があるから不安が生まれるというようなわけのわからない感想を言っている学者も登場しているが、貧困格差がなかった社会などどこにあったのだろうか・・・。

☆失われた物語や存在の故郷を見出したら不安はなくなるなどいうこともないだろう。むしろ存在しているから不安だという認識の方が自然なのではないだろうか。

☆不安を感じるセンサーをもっていることこそ健全なのではないかということなのだ。不安をなくそうとすることが、かえって何か違うのではないか。人間関係は、互いの不安をシェアするところに信頼関係が生まれるというのがグッとくるのではないだろうか。

☆それなのに、得体のしれないものとして不安を扱う事によって、単純に制度設計の欠陥に目がいかないようにしているなどということもあるかもしれない。

☆学校におけるキャリアデザインにしてもカウンセリングにしても、不安を予防しようとしたとたんにおかしくなるのではないか。危険に対する恐れと存在の不安はまったく別のものである。危険は予防する必要があるが、不安は受け入れるところから始まるのではないか。つまり、危険は設計の欠陥から生まれるが、不安は精神の原理そのものであるのではないだろうか。その原理にマスクをかけては・・・・・・。そんなことをウダウダ考えさせる意識調査の結果報告である。

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