脱ゆとり始動するも
☆読売新聞(2010年3月31日)によると、
「ゆとり」が特徴だった学習指導要領を全面改定し、学習内容を充実させた新指導要領に基づく初めての教科書で、学力低下不安から内容を増やした現行教科書と比べ、平均ページ数は全体で25%、算数で33%、理科で37%増えた。基礎の反復や実験、観察も増え、情報を使いこなす力、思考力、表現力の向上も意識された。日本の伝統文化も多く盛り込んだ。
☆表面的には良いことである。
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☆読売新聞(2010年3月31日)によると、
「ゆとり」が特徴だった学習指導要領を全面改定し、学習内容を充実させた新指導要領に基づく初めての教科書で、学力低下不安から内容を増やした現行教科書と比べ、平均ページ数は全体で25%、算数で33%、理科で37%増えた。基礎の反復や実験、観察も増え、情報を使いこなす力、思考力、表現力の向上も意識された。日本の伝統文化も多く盛り込んだ。
☆表面的には良いことである。
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☆村田学園小石川女子中学校の小林隆司先生からメールをいただいた。今回進路指導部から入試広報部に移ったということだ。
☆小林先生は、進路指導のみならず、中学開設のときからサイエンスレディーを養成する学びのプログラムをデザインしてきた。その先生が入試広報部に移ったということは、同学園は生徒獲得戦略にいよいよ本格的に力をいれるということを示唆している。
☆急激に高人気を達成し持続している中村中のように、授業という教育の質をきちんと表現しようということだろう。この流れは今年の多くの私立中高一貫校がとる戦略でもある。
☆しかしながら、実際には学びのプログラムをきちんと表現できる学校は意外に少ない。というのもこの学びのプログラムは、世界標準を超えるものでなければならないし、教科学習の話をしてもインパクトがないからだ。
☆本物の世界標準の(あるいは超える)授業を実践していなければ興味深いストーリーを話せないのである。
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☆昨年秋から最近にかけて、マスコミの私立中高一貫校の取り上げ方は、大学進学実績や偏差値指標に限定されてきている。そうしなければ、メディアが売れない産業構造の転換が起こっているからである。
☆一方で、受験市場はそれ以外の指標、つまり教育の質も重視している。とはいえ、それは私立中高一貫校のあり方があまりに多様になり、1つの指標に限定すると商売が成り立たないからである。ある意味私学市場の多様化が進んでいるのである。
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☆今春の佼成学園女子の生徒獲得戦略は大成功だった。最終入学者数は、次の通りだそうだ。
中学は前年比136%(52名から71名)
高校は前年比150%(100名から151名)
☆この理由については同学園のホームページを見れば明らかである。
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☆リクルートが発行している「キャリアガイダンス2010/2№30」の特集は「不安社会の親子関係」。
☆4回目の「高校生と保護者の進路に関する意識調査」の結果報告で、(社)全国高等学校PTA連合会と(株)リクルートが共同リサーチをしたもののようだ。
☆とにかく興味深い結果が並んでいるので、読んでみるとよいのではないだろうか。一般にこのあまり好ましくない状況と思われている不安社会をどのように身構えて生きていこうとしているのかがよく反映されている。
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2010東大合格発表シーズン⑳ 武蔵の東大入学者推移のつづき。
☆サンデー毎日(2010.4.4)とインターエデュの情報をもとに、東大の後期日程の公私の合格者の比率を出してみた。
☆両情報で判明している合格者数は73人。そのうち公立学校は26人、私立学校は47人。私立学校の後期日程合格のシェアは64.4%。
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☆中村中学校・中村高等学校から便りが届いた。開封して、あっなるほど、サプライズとはこのことだったのかと。創立101年目を迎える4月1日から、小林先生が理事長に専念し、梅沢先生が校長に就任するというお知らせだった。
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2010東大合格発表シーズン⑲ 東大合格公私比率の意味のつづき。
☆武蔵中のホームページで、今春の大学入学者数が公開されている。東大は24名で、徐々に盛り返している感じがする。が、学校当局はそういうことにはあまり興味と関心がないだろう。
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2010東大合格発表シーズン⑱ 公文国際の東大合格者推移のつづき。
☆サンデー毎日(2010.4.4)東大前・後期の高校別合格者データを集計すると、3,109人の合格者のうち私立学校は1,670人で、53.7%のシェアである。全国に私立高校は30%あるから、それに比べると私立学校の東大進学の率は高い。私立中高一貫校に絞ると、全国に占める割合は7%ぐらいだから、相当高いということになる。
☆これをもって、私立学校は、東大進学を重視しており、学習指導要領を無視し、受験指導重視の教育を行っていると思われがちだが、それは違う。ただ、私立学校は生徒獲得戦略として、そのような理解を逆手に取る場合が多いため、そのような表面的な理解を生んでいることも確かである。だが本当のところは違うだろう。以下にそのことについてウダウダ書いてみたが、いつものように独断と偏見になっているので、あらかじめお断りしておく。
☆2005年日・EU市民交流年前後から≪未来を創る学校≫プロジェクトを立ち上げてきて、紆余曲折ありながらも、細々と続けてこられたのも、ストラスブール大学と連携している日本学研究所(CEEJA)とお世話になったNTS教育研究所、そして私立学校の皆さまのおかげである。今後ますますこのプロジェクトを大きく展開していきたいが、何事も序破急のテンポが肝心。このプロジェクトが大きくなるかどうかは、ひとえに時代が要請するかどうかにかかっているにすぎない。
☆このプロジェクトの展開あるいは転回にかかわってから、1つ探究テーマが定まった。それは≪私学の系譜≫を考えていこうということであった。この系譜についてウダウダ考えているうちに、まずは東大の歴史的存在について考える必要があることにも気づいた。
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☆昨日23日、後期試験の合格発表があり、そろそろ東大合格者発表の季節も終わりに近づいた。学校別の東大合格者の数を見るにつけ思うことは、このままでは日本の学校の授業は基本的には変わらないということである。
☆つまり、東大に合格するための勉強が行われる授業は、指導案に基づいた、あるいはせいぜいシラバスに基づいた授業以上でも以下でもないからだ。
☆この授業を別の言葉で置き換えれば「プログラム」である。指導案やシラバスに基づいたプログラムなのである。
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☆武蔵野女子学院の国際理解教育室から“NewsLetter №94”が届いた。昨年1年間の長期留学を体験した生徒12名の進路結果と生徒からのメッセージが載っていた。まずは、3月15日現在の進路先。
国際基督教大学・武蔵野大学(2名)・中央大学(2名)・上智大学・デジタルハリウッド大学・桜美林大学・神田外語大学・成蹊大学・共立女子短期大学(看護)
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2010東大合格発表シーズン⑰ 青陵 今年も東大合格のつづき。
☆今年の公文国際の東大合格者(前期)は2名。93年に開設し、一期生から東大合格者6名を出して以来、今のところ一番少ない数か。受験指導以上の骨太の教育によって、東大合格者を輩出してきたから、一気呵成の勢いで成熟期に突入した学校である。
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☆今年の筑駒の国語の中学入試問題で出題された詩の問題は、いつもと同じようで違うかもしれない。
☆小野省子さんの詩集「牛丼屋夜間アルバイト」(本の森)から「母はサボテンが好きだ」が出題された(入試問題それ自体は四谷大塚の「過去問データベース」で見ることができる)。
☆たしかに、何気ない家族の日常のシーンではあるが、言葉にならない事物や微妙な心情をさらりと表現していて小野さんらしい詩であり、その言葉にならない表現をさらに問いかけて説明させているのは、筑駒らしい問いかけである。
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☆長引く不況ゆえ、首都圏以外の私立中高一貫校で20人以上慶應大学に合格者を輩出しているところは少ないだろうが、それでも慶應大学に進学させる文化資本を再生産できるミームを持っているところはどこかリストアップしてみた。データは、前回同様「サンデー毎日(2010.3.28)」による。
☆茨木を首都圏エリアにいれるとすると、江戸川取手からは53人、茗渓からは20人が合格。
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☆フェニックス中村。人気が持続するようになって久しい。
☆毎日のように更新される「中村日記」もすっかり自然体。
☆教育の質が伝わってくる。
☆その質感がまた共鳴を呼ぶ。
☆生徒や保護者だけでなく、地域の市民をも巻き込んで、
☆中村中の教育活動は、大きな感動の渦を生み出している。
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2010東大合格発表シーズン⑯ 筑駒の東大合格者推移のつづき。
☆青陵中のホームページにはこうある。
平成21年度も東京大学理科一類に現役で合格いたしました。2年連続となります。
☆95年に校名を「青蘭」から現在の「青陵」に変更し、中学の共学化着手。それ以来教育改革を着々と進めてきている。
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クローズアップ現代「よみがえる“経営の神様”ドラッカー」のつづき。
☆クローズアップ現代を見ながら、今なぜドラッカーなのかよぎった。もちろん、本を販売する企画がたくさんあって、その仕掛けがあるのだろうが、魅力がなければ売れないわけだし、魅力があるから仕掛けようとするのだろう。
☆もちろん、NHKは販促キャンペーンのために番組をつくっているわけではない。ドラッカー現象の雰囲気を編集者のアンテナがキャッチしたのだろう。
☆しかし、いずれにしてもドラッカーの魅力は何かを映しだしたのは確かだ。その魅力の1つを象徴的に言い当てている言葉は、糸井重里さんのイマジネーションをかきたてる「顧客の創造」。名だたる企業の最高責任者が、ドラッカーに影響を受けて、自ら体現しているのは、まさにこれだろう。
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☆昨日(3月17日)のクローズアップ現代(NHK)で、ピーター・F・ドラッカーの特集が組まれていた。「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 岩崎 夏海 著 ダイヤモンド社(2009.12.4)」が男女問わず幅広い年齢層で読まれていて、それをトリガーに番組は始まった。たしかにアマゾンでも本のランキング1位というポジション。むむむ・・・ダイヤモンド社の仕掛けなのか・・・。
☆それはともあれ、「ほぼ日刊イトイ新聞」の特集で、対談をしていた上田惇生さんと糸井重里さんも登場。番組で話された内容は、実はこの特集のなかですでに話されていることの一部だったが、糸井さんは番組の中でも「顧客の創造」について語っていた。
☆つねに顧客に刺激を与え、新しいマーケットを創造するということだったかな。実はあまり意味の正確さは問題ではないようだ。
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☆毎日新聞のサイトに「勝間和代のクロストーク~みんなの経済会議~」というコーナーがある。勝間さんがお題をだして、多くの人がコメントを書き込む。そしてそのコメントに対し勝間さんが講評を書き、ベストアンサーを選ぶというゆるやかな評価をする。
☆もちろん、一方的な評価ではなく、お題の立て方に対する批判的なコメントもある。
☆なかなかおもしろい。こんなにいろいろな考え方があるのかと、改めて思う。日本人は決して議論が不得意ではないとも思う。もっとも、国民の60%以上がコメントしているわけではないから、感想にすぎないが・・・。
☆それはともかく、このコーナーに「教育改革は教員の育成から」とか「論理的思考力育成する教育を」というお題もある。
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☆昨日(2006年3月16日)、衆院本会議で、いわゆる「高校無償化法案」が可決。民主党政権のマニフェストの実行は一歩前進。これも1つの理念の実現のモデルである。
☆なんといっても、理念を実現するには、いかにドロドロした舞台裏があるかを国民の前にさらけ出しながら繰り広げてくれているのがよい。
☆理念を通す時に、その担い手は様々な思惑をいだいている。真面目に理念そのものを通すことを考えているメンバー、選挙対策の錦の御旗になればよいと理念をダシに使っているメンバー、目先の利益ではなく長期を見定めた政治のための楔として使おうというメンバー、市場原理から社会正義原理へ政治経済のパラダイム転換の土台作りのコンセプトにしようというメンバー・・・。
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2010東大合格発表シーズン⑭ 豊島岡女子の東大合格者推移のつづき。
☆インターエデュによると、女子学院の今年の東大合格者数は24名。この人数よりも多い年も少ない年もあるが、平均するとだいたいこのぐらいは合格している。JGの教育の質に変わりはないということか。
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2010東大合格発表シーズン⑬ 巣鴨の東大合格者推移のつづき。
☆豊島岡女子の今年の東大合格者は23名。すごい躍進だ。たしかにいわゆる女子御三家の併願校であるから当然といえば当然であるが、御三家が大学進学実績にはあまり興味を示さないかのような姿勢をとるのに対し、豊島岡女子は堂々と正面切って大学合格実績のよいことをアピールする。
☆これは、御三家という受験生や保護者の固定観念を砕くには、受験市場ウケする戦術が必要だったということを意味しているのかもしれない。
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☆今年の巣鴨の東大合格者数は、芝や攻玉社と比べてそん色ない。この3つの私立男子中高一貫校は、それぞれの特色があって、教育力もある。しかし、東大合格者数の推移の比較グラフを見ると、不思議な感じがする。
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☆サレジオ学院の東大合格者も増えた。もっともそれは昨年に比べれば飛躍ではあるが、過去の推移をみると、9名の時も2度あるので、学院の潜在力が発揮されただけと考えることもできる。
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2010東大合格発表シーズン⑩ 科類別に映る学校の雰囲気のつづき。
☆今年の渋幕の東大合格者数も増えた。なぜだろう。おそらく学内では二重構造なのだと思う。学校説明会で田村校長のスピーチに酔い、素晴らしい学校だと実感して選択するケースが多いと言われている。
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2010東大合格発表シーズン⑨ 攻玉社大躍進 その頑張りとはのつづき。
☆東大を受験するときに、どの科を選択しようかというのは、当然考えるだろうが、多くの場合、理系か文系かは決めても、最終的には入り易い科はどこだろうということで選んでしまうというのも否めない。
☆しかし、50人以上合格者を出している学校については、学校によってどの科を選ぶ生徒がいるのかその雰囲気がある程度傾向としてでるのではないだろうか。そう思い、次のように合格者数に対する科類別の占有率を出してみた。
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☆湘南白百合も晃華も光塩も、カトリック学校。聖光や栄光の男子校のようなカトリック校では神父が校長をやる時代は終わったようだが、女子のカトリック校はまだまだシスターの存在が大きいし、それが実によい。
☆シスターほど神の戦士はいない。シスターの戦略・戦術のサバイバル能力は実に高度なのである。シスターのあの制服というかコスチュームはすごい迫力ではないか。バスの中でも電車の中でも路上でもあの姿で闊歩している。
☆イタリアなどに行けば、神父は神父の姿で闊歩しているが、日本では路上であの姿の神父に出会うことはめったにない。あくまで教会の中であろう。あるいはカトリック学校の敷地内。
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2010東大合格発表シーズン⑥ 共栄 東大合格者輩出のつづき。
☆2004年以降桐光学園から東大合格者は4名から6名輩出されていたが、昨年は理Ⅲ1人。そういうこともあるだろうと思っていたが、やはり今年は4名合格した。桐光のデフォルトは、今のところこのぐらいはすでに十分あるという証拠なのだが、実はそろそろ次のステージに移行してきた潜在力が膨らんでいるはずだ。
☆とくに今年東大の試験は難しかったというか、ひそやかにクリエイティビティとクリティカルシンキングをテストする問題が散見していたように感じる。もしもこのような問題が主流になれば、従来のいわゆる受験勉強では難しくなるかもしれない。
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2010東大合格発表シーズン⑤ 聖光・浅野も増えた・・・。のつづき。
☆今年暁星国際から東大に9人合格したのも注目されるだろうが、共栄学園から1名合格者が誕生したというのも話題になるだろう。
☆というのも、春日部共栄と共栄学園がグループとして質やレベルがシンクロし始めていることを示す兆しだからである。
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2010東大合格発表シーズン④ 駒東・渋幕・暁星国際・江戸取のつづき。
☆「サンデー毎日2010年3月21日号」によると、聖光学院からの東大合格者は65人。浅野は34人。両校とも昨年よりかなり増えた。
☆何か今までとは違う特別なことをやったというわけではないだろうから、東大受験への欲求やモチベーションが学内で盛り上がっている雰囲気があるのだろう。
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クオリティスクールの新コンセプト[081] 湘南白百合の意義のつづき。
☆教育基本法改正以来、≪私学の系譜≫について話し合ってきた。私学のルーツというのは系譜の一部であり、系譜という言葉を使ったのは、私学の精神が今も時代の要請に応じながら最適化されて浸透しているということを表現したかったからである。
☆教育の理念は、過去にあるものではなく、いまここで現代化されてあるのだということなのだ。結局、≪私学の系譜≫の思想の源流の1つであるJ.J.ルソーではないが、
人間のすべての知識のなかでもっとも有用でありながらもっとも進んでいないものは、人間に関する知識であるように私には思われる。(「人間不平等起源論」から)
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2010東大合格発表シーズン② 入試問題に変化?☆!のつづき。
☆今日10日、東大の前期日程入試の合格発表があった。今年は合格の声はYouTubeよりもTwitterなのだろうか。
☆それはともあれ、Inter-Eduのサイトでは、徐々に高校別合格者数が集計され始めている。
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2010東大合格発表シーズン①のつづき。
☆まさか東大の入試問題に変化はないよなぁと思うが、現代文で出題された阪本俊生さんの「ポスト・プライバシー」の問いは、今までと違うような気がする。
☆小野十三郎さんの文章に対する問は、従来通りで、小野さんが詩人であることを知っていようがいまいが、文章の枠内のリテラシーで解ける。
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クオリティスクールの新コンセプト[080] 東京女学館と日本女子大附属のつづき。
☆湘南白百合の中学入試における応募者推移は次の通り。定員60人であるから応募者は180人集まれば、質量的にみても生徒獲得戦略としては問題がない。2000年以降、湘南白百合の教育に大きな変化は基本的にはないはずだ。にもかかわらず、生徒募集の推移グラフは、大きな波のような軌跡を描いているのはなぜだろう。
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☆3月10日は東大合格発表の日である。学歴社会の頂点であり、明治時代から日本社会のものの見方や感じ方にまで影響を与え、文化資本を蓄積してきた。その文化資本は、当然お金や物質という形式ではなく、知のあり方である。
☆東大を超える大学が存在してこなかったために、日本社会のものの見方や感じ方は1つのバージョンしかなかった。つまり知のあり方はあたかも1つのバージョンしかないかのように映し出されてきた。このバージョンを強化するシステムが公立学校システムである。
☆東大教育学部の知のあり方である1つのバージョンが、1つの理論負荷的な知の先入観をつくってきたのである。たしかに科学としてそのことの誤りを研究している学者もまた東大の中にたくさんいるのであるが、こと学問が政策に転化する段階では、論理実証主義的、要素分解・還元主義が台頭してしまう。
☆戦後一瞬ではあるが、関係主義的ものの見方や感じ方が、教育政策に転化したように見えた(戦後教育基本法の成立経緯がそれ)が、すぐにその政策は捨て置かれた。その捨て置かれたものの見方を明治以来保守してきたのが私立学校の中等教育であった。
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クオリティスクールの新コンセプト[079] 洗足が強いわけのつづき。
☆東京女学館と日本女子大附属は、両校とも渋沢栄一翁が創設にかかわった学校であるが、その理念は現代化されているのだろうか。それとも不易流行の不易の部分だけが権威主義的に継承されているのだろうか。
☆渋沢栄一翁の原動力は、世界に目が向いていたことにある。ヨーロッパ視察で、資本主義のパワーを日本に移植することを押し進めながらも、論語の精神を接ぎ木した。ヨーロッパはキリスト教を世俗化し、無化していく資本主義の過程を歩んでいたが、渋沢翁は、「論語と算盤」にあるように、良き競争原理を作ろうとした。そして晩年渡米し公共事業・慈善事業に身を投じた。教育事業もその一環だったはずである。
☆この「論語と算盤」の精神の現代化こそ両校に求められるのに、生徒募集に関しては技術的に「算盤」だけで乗り切ろうとしたのだろうか。
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クオリティスクールの新コンセプト[078] 桐朋女子型モデルの優位性のつづき。
☆昨年の春、洗足学園から東大合格者が4人輩出された。早慶上智の合格実績も増え続けている。だから、今春の総応募者数も激増。そう受験市場では認識されるだろう。
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クオリティスクールの新コンセプト[077] 東洋英和中学の不易流行の兆しのつづき。
☆2004年以降、桐朋女子はそれまで2日入試だったのを単日入試にした。すると生徒募集は1.5倍にはねあがった。2004年はサンデーショックの年でもあったから、戦略は大当たりだったのだろう。
☆それ以来、応募者総数は300人以上をキープしてきた。今年もぎりぎりではあるが維持している。
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クオリティスクールの新コンセプト[076] 3月10日東大合格発表日に東大に結集する学校?!のつづき。
☆東洋英和の今春の応募者総数は、昨年対比61.2%。昨年がサンデーショックの年だったということを考慮したとしても、2回入試を始めた2003年以降の中で最も少ない生徒募集数である。
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クオリティスクールの新コンセプト[075] 田園調布学園が強いわけのつづき。
☆3月10日と言えば、東大前期試験の合格発表日ではないか。そんなときに、ベネッセコーポレーション&マイクロソフトは学校とコラボしようとは、何を意図しているのだろうか?
☆それはともかく、両社が取り組んできた理数系人材育成講座「ロボットを作ろう、動かそう」合同発表会が開催されるということだ。
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クオリティスクールの新コンセプト[074] 東京女子学園で自分らしく輝くのつづき。
☆田園調布学園は今年も生徒募集戦略は成功だった。定員200名3回入試で、ファン層の厚い学校であるから、1,000人以上総応募者数が確保できれば、安定した入学者数を維持できる。
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クオリティスクールの新コンセプト[073] 香蘭の次のステージのつづき。
☆東京女子学園の総応募者数は、今年も右肩上がり。入学者数を安定させるためには、試験回数から考えると、総応募者数は1,500人くらいにする必要があるから、今後も生徒募集戦略を緩めることはないだろう。
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クオリティスクールの新コンセプト[072] 武蔵野女子学院の潜在力のつづき。
☆今春の香蘭の中学入試の応募者数は、昨年対比70.9%。しかし、これは昨年がサンデーショックの年だったから仕方がない。ただ気になるのは、2004年以降の応募者数の中で、最も少ないのが今年の入試だったということだ。
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2010中学受験市場[09] 日能研 vs SAPIX ⑦のつづき。
☆前回、クリエイティブクラスの日能研、ファーストクラスのSAPIXと極端に二極化して述べたが、現状でそうなのであって、今後は両塾とも互いにクリエイティブクラスとファーストクラスの両方を競い合っていくことになるはずだ。
☆日能研は中学受験専門塾として、私学人を応援するという理念で動いているから、あくまで私学全部を引き受けるだろう。SAPIXは、そういう理念はないとしても、単純に難関校というのではなく、新しい学際的な知性を問いかける麻布や開成、筑駒、栄光、桜蔭、鴎友学園女子などに大量に合格させているために、入試問題によってクリエイティブクラスのニーズを満たすカリキュラムを作らざるを得ない。
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クオリティスクールの新コンセプト[071] 東京神奈川が語る私立中高一貫校の魅力 了のつづき。
☆武蔵野女子学院の根底に流れている気概は、創設者の高楠順次郎の想いである。やがて訪れる時代の暗黒の幕を払拭する女性を輩出する教育を実践するのだという想いである。
☆この暗黒の幕とは、先進諸国の少子高齢化による優しき世代間対立であり、テロによる平和構築の新たな局面であり、脳科学進歩による新たな排除型社会の出現の恐れであり、クリーンテックによるエコの商品化によって、さらに自然との一体化を離れるパラドクスなどである。これがバブルが別の顔をしてやってくる時代の暗黒の幕であろう。
☆武蔵野女子学院はこの暗黒の幕を除きうる可能性を追究している。しかし、そのことを受験市場はなかなか理解しないようだ。それでも、同学院はフンバッテいる。その意志が、今年の中学入試の応募者数に表れている。
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クオリティスクールの新コンセプト[070] 東京神奈川が語る私立中高一貫校の魅力③のつづき。
☆東急線・みなとみらい線で通える私立中高一貫校」合同相談会の近藤彰郎先生(東京私立中学高等学校協会会長、八雲学園中学校・高等学校 理事長・校長)と工藤誠一先生(神奈川県私立中学高等学校協会理事長、聖光学院中学校・高等学校)との対談で、なるほどと思ったことを書いておきたい。
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公立の限界を超えるために[04]のつづき。
☆前回「土井さんの岩波ブックレットを読めば読むほど、公立学校はヤバイ」と書いたが、これは公立学校があまりに制度的な公共圏であることを、土井さんも語っているからだ。
☆「公立学校」と「私立学校」という言葉から、よく誤解されるのは、前者は公共的な領域だが、後者は私事の(プライベートな)領域であるから、助成金を出すのはおかしいのではないかというようなおかしな話。
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