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私立中高一貫校はなぜ理念にこだわるのか。

☆昨年秋から最近にかけて、マスコミの私立中高一貫校の取り上げ方は、大学進学実績や偏差値指標に限定されてきている。そうしなければ、メディアが売れない産業構造の転換が起こっているからである。

☆一方で、受験市場はそれ以外の指標、つまり教育の質も重視している。とはいえ、それは私立中高一貫校のあり方があまりに多様になり、1つの指標に限定すると商売が成り立たないからである。ある意味私学市場の多様化が進んでいるのである。

☆公立学校では、社会階層構造に応じてインセンティブディバイドが進んでおり、そのため子育て支援や高校無償化は注目されている。民主党の政策が良いから注目されているというわけではなく、社会のニーズに対応しようという姿勢が歓迎されているのだろう。

☆しかし、結局は20世紀型の産業構造と資本主義のあり方に対応するマーケティングや社会経済政策であり、社会的文化資本として人材を育成しようという気配がない。

☆私立中高一貫校の系譜である≪私学の系譜≫は、いつもそのような社会的制度設計の欠陥を補完してきたし、実質的に創造的に破壊してきた。

☆それが大学進学実績や偏差値の切り口だけで語られることによって、あたかも社会階層上、インセンティブディバイドを作る側に立たされてしまっている。

☆マスコミや公立学校を支援する大学人のそのようなフィルターが、受験生の保護者にも影響するときがあるし、私立学校で教鞭をとろうとする新卒の教師にも影響を与えてしまっているときがある。

☆クリエイティブ資本主義あるいはクリエイティブクラスの時代にシフトしている現在、私立中高一貫校は、社会的起業家たる人材を育成することをキャリアデザインとしている。その社会起業家のあり方は様々である。たとえば、ビル・ゲイツのようなソーシアル・キャピタルを生みだす人材だったり、ジョブスのように新しいコミュニケーションツールを創りだすアイデアを生み出す人材だったり・・・。

☆そのために、4月から各私立中高一貫校で行われるオリエンテーションや保護者会では、今社会にとって何が必要なのか、そしてそのためのインセンティブやモチベーションを生みだす教育について語り継がれる(当たり前のようだが、現状の日本社会では今自分にとって何が必要か、いや自分にとっていくら必要かが重要になっているのだ。)

☆そしてその意志はどこから来るのか。言うまでもなく、建学の精神である教育の理念からに他ならない。

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