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私立学校とドラッカー

クローズアップ現代「よみがえる“経営の神様”ドラッカー」のつづき。

☆クローズアップ現代を見ながら、今なぜドラッカーなのかよぎった。もちろん、本を販売する企画がたくさんあって、その仕掛けがあるのだろうが、魅力がなければ売れないわけだし、魅力があるから仕掛けようとするのだろう。

☆もちろん、NHKは販促キャンペーンのために番組をつくっているわけではない。ドラッカー現象の雰囲気を編集者のアンテナがキャッチしたのだろう。

☆しかし、いずれにしてもドラッカーの魅力は何かを映しだしたのは確かだ。その魅力の1つを象徴的に言い当てている言葉は、糸井重里さんのイマジネーションをかきたてる「顧客の創造」。名だたる企業の最高責任者が、ドラッカーに影響を受けて、自ら体現しているのは、まさにこれだろう。

☆そう思っているときに、「顧客」を「人間」に置き換えてみようと思った。というのも「創造」という言葉は、私立学校の先生方と話をしている時に、必ず出てくるキーワードだからなのだ。

☆私立学校は半ば経営というマネジメントをしなければ運営できない。だから、企業に近いが、利益はあげない構造になっている。そういう意味では企業ではない。かといって、すべて国の税金で運営しているわけではないから、公立学校とも違う。

☆この利益を目標にするのではなく、社会の幸せのために活動するという組織と言う意味では、実はドラッカーの考え方とシンクロするのは、私立学校の方なのだ。企業の場合、そうではない、つまり利益を目標とする方が多いのではないだろうか。

☆この似ているようで、違う私立学校と企業をドラッカーの考え方に合わせるとどうなるのだろうとぐちゃぐちゃめぐっていたとき、糸井さんが「顧客の創造」という言葉には魅力があると切りだした。

☆糸井さんの語る「顧客」は、商品を買わされる人ではない。自分の生きる道を導くツールやインフラとの出会いを求めている人間として語られているような気がした。

☆そこで「人間」に置き換えてみた。とたんに私立学校と結び付いた。アルビン・トフラーは社会の動向や未来を見通すときに大いに参考になってきたが、ドラッカーは未来を描く人間そのものの創造について語り続けていたのではないか、するとその点において私立学校の教育理念と実践は、ドラッカーの魅力と同じ質感を持っているのではないかと。

☆鴎友学園女子の3つの校訓のうちの1つはまさに創造であり、創造的雰囲気が学内に広がることこそが重要だと教育改革を進めてきた。

☆八雲学園では、近藤校長の「子どもたちは生まれる時代を選べないが、時代を変えることはできる」という言葉にもとづいて、過去にこだわるのではなく未来を選択する教育を実践している。

☆聖学院は、偏差値や大学合格実績を競う横並び発想ではなく、未来の正当性を目指して競争するモチベーションを大切にしている。

☆白梅学園清修の柴田副校長は、問題解決しながらもそこにのみとどまらず、常に多様な機会をつかむ集中力を持続している。

☆かえつ有明の先生方は、ハードルを高く設定して、そこにチャレンジするときに生まれる未来へのチャンスを自ら創造している。

☆麻布のカリキュラムが独自であるという意味は、どの学びにどれくらい時間をかけるのか、ドラッカー流儀のような時間管理の決断をしているからだろう。

☆聖光学院の工藤校長は、生徒1人ひとりの可能性を広げる学びの機会をつくりだす工夫に余念がない。

☆武相も、聖光とおなじように、生徒1人ひとりの可能性を広げる多様な機会に充ちた空間を展開している。

☆洗足の前田校長のスタンスは、ドラッカーの次のような語りとダブル。

あなたの書いた本の中で最高の本はどれですかと聞くと、ドラッカーは、「次に出る本です」とこたえる。

☆前田校長は、日々新たなりとカリキュラムやシラバスを変える創意工夫を大事にする。ある一定のデフォルトが維持できた時、シラバスなき授業を展開してみる勇気が必要なんだよと語られたときがあったほどである。

☆このように、私立学校の先生方が、ドラッカーを信奉しているかどうかはわからないが、ナチの人間否定の凄惨な行為に抵抗の想いをいだきながら、イギリス、アメリカへと渡り、幸せな人間創造に人生を費やしたドラッカーと精神的には相似しているのではないだろうか。

☆ここに到って、東京女子学園の實吉校長が生徒の「幸せ」について論じてきた深い意味が身に染みてわかったような気がする。

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