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教育理念の現代化

☆ポストモダンの中で生まれた受験市場は、さすが「理念なき市場経済」をベースにしてきた。しかし、私学市場は事情が違う。明治時代以降不易流行の流れの中にある私立中高一貫校は、教育理念を保守するスタンスはゆるがないところが多く、そのようなクオリティスクールは、常に時代の要請を見極め、世界の要求にどのように回答するか、理念の現代化を果たしてきたし、今もそうしている。

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☆なぜ理念の現代化が必要か。それは理念というと絶対的だとか、非―知の次元だから押しつけだし、科学的ではないという妄説とも言うべき考え方があるからである。

☆理念は、絶対的でも非―知の次元でもない。それは子どもたちが生きる指針だろうし、道を選択する判断基準であろうし、夢を見るビジョンの支えでもある。

☆そういうものなくして、生きていけるということはおかしなおかしなことだし、モチベーションは常に外からぶら下げられたニンジンにしか反応しなくなる。それが大量生産・大量消費・大量移動を造ってこれたポストモダンの原理ではあるが。

☆理念の現代化とは、すなわち理念の相対化ということである。これもまた相対化というと、真理や基準なんていらないという通念に迎合することなのかと言われるわけであるが、相対主義というのは、常に絶対主義的世界に反転するそのプロセスである。

☆この反転なき理念は同調主義的で重苦しい。反転なき相対主義は、常に外からの刺激にしか反応できないキャラ化された人間像を造ってしまう。

☆人生の中で甘酸っぱくも懐かしく、生きていく自信と勇気をとりもどす領域は、実は思春期である。このときに自分なりの社会とわたりあっていける自分の理念を創造する。人生の原点は誕生期にあるのではなく、思春期のときに形成した理念にある。

☆近代社会において、この思春期の時期は学校空間という小世界の領域に重なる。それゆえ、学校は理念の現代化・相対化を試み、生徒1人ひとりが自らの理念をいったん内在化させる機会としてある必要がある。

☆思春期の教育理念の現代化こそ、人生の起源となるのである。

☆そんな話を私立学校の先生方とまじめにしている機会が増えた。

☆今年は、このことがどういうことなのか、相対化しなければなるまい。

☆この思考作業には、校長先生方のお話や数学の先生方との話し合いがものすごく参考になる。また、入不二基義さんの「相対主義の極北」も刺激的である。

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