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「公立に勝てる」という表現???③ 価値のシフトのために

「公立に勝てる」という表現???②のつづき。

☆「AERA2010.4.5」は、私立学校が自ら積極的に私学市場を創出していくことの重要性を告げる記事である。

☆ここまでメディアや受験市場が、教育を「優勝劣敗・損得勘定」という「価値フォーム」で、もっというと「価値コード」(これもものの見方や感じ方を規定するルール・基準)を明快に述べたわけだから、本記事で表明しているような「価値観フォーム」や「価値コード」とは違う私学流儀のフォームやコードを表現していく必要があるだろう。

☆そしてその動きがすでに二方向から見られる。1つは本ブログですでに紹介したが、東京私立中学高等学校協会の動きである。もう1つは、各学校の自己論理の展開である。

☆まず東京私立中高協会であるが、法人格を取得すると同時に、その記念碑的な意味で新たな表現活動を展開する。それが、今年5月8日に行われる予定の私立中高一貫校による合同相談会「Discover 私立一貫教育」である。

☆朝日新聞社も主催者として参加しているが、それは、協会側から、メディアに対して価値観フォームや価値コードの意識改革の協力を働きかけた努力の成果だと思う。今後他紙がどのように応じてくるか楽しみである。ところで、AERAは朝日新聞社系列の雑誌?新聞と雑誌は違うという戦略・・・?

☆それはともかく、もう1つの動きは、それぞれの私立学校のホームページの新たな動きである。中高協会は、各私立学校のそれぞれの独自の理念と教育活動を保守するために支援活動をするのが理念であり、1つの教育の理念を掲げているわけではない。むしろそれぞれの理念が競争的共在関係をつくり、共に生きていく道を見出そうとうする強力な機関なのである。

☆だから、それぞれの学校は独自に表現を工夫しなければ、その質的競争の中に埋もれてしまう。受験生や保護者が、学校を選ぶときに、理念や教育内容をきちんとリサーチして、選ぶことが重要だと認識されるようになったが、そのようなリサーチが行われれば行われるほど、違いがわからないから、結局偏差値や大学進学実績に拠ってしまうというパラドクスが起きていた。

☆しかし、今では各学校のホームページで、広告代理店に依頼しないで、教師自らが表現するようになった。教師のことばへの想いと認識の枠組みが見えるようになった。

☆A型価値観について共鳴されるか、なんだスローガンに過ぎないじゃないかと感じられるかは、受験生や保護者しだいであるが、少なくともこのチャレンジをしなければ、結局「損得勘定」のB型価値フォームで見られてしまうのだ。

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☆逆にいえば、今まで「損得勘定」価値フォーム(B型やC型)の情報のみが偏って世の中に流布していたのである。20世紀末までは、受験生や保護者という消費者の側に、まだ私立の理念や理想の物語があり、その枠組みでマッチングされていた場合もあっただろうが、今日では、Webによる情報が先行して、その情報が選択の方向性に影響を与えるようになったから、自分の想いや物語が、逆に情報に作られるようになってしまった。

☆ポストモダン世代と言われている状況が中学受験にも浸透してきているのは確かだろう。ディスニーランドに行かなくても、ディスニーのホームページに行けば、消費者側の満足を満たす情報があり、ネットショップによって、自分の生活の物語をつくっていく/つくられていく(つくるとつくられるの差異がなくなっているのがポストモダン)。

☆自分はこういう人生を送りたいから、この商品が必要だではない。商品のデータベースの組み合わせによって、人生をデザインできる。しかもアマゾンに入ればわかるように、オススメ情報まであって、買いたいと思っていた本以外もセット販売されてしまう。

☆だから、情報を選択する目、鵜呑みにしない認識力を育てなきゃということになるが、選択判断や鵜呑みにしないためには、その基準が必要。物差しが大事。それがコードなのだ。このコードが、「損得勘定」価値コードの体系でできていたらどうだろう。このコードが圧倒的に蔓延していたらどうなるだろう。

☆それでは売り手側の思うがままである。メディアの市場の商品は私立学校ではない。情報である。受験市場の商品は私立学校ではない。合格プログラムである。私立学校は利害関係者=ステークホルダーではあるから、「損得勘定」が一致する限りにおいて支援されるだけである。

☆ところが、もし「価値コード」が「損得勘定」コード以外に、「幸社会創造」コードの参入が力を増したらどうなるだろうか。メディアも受験市場も変わるだろう。

☆この「幸社会創造」コードをベースにコミュニケーションが行われている市場を私学市場と呼んでいるのである。今のところはたしかに「幸社会創造」コードは、メディアや受験市場では相当少数派である。それゆえ、各私立学校は自らのホームページで独自の表現を自らの頭脳で工夫しなければならないのである。

☆そうしなければ、多様な価値観で学校選択のマッチングが生まれないのである。B型(あるいはC型)フォームしか働かないという時代はどこかでシフトしなければならないが、今その臨界点に達していることを象徴しているのが今回のAERAの記事だったのではあるまいか。

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