« 海城のさらなる発展 | トップページ | 白梅学園清修の理念の現代化 »

聖学院の理念の現代化

☆聖学院中学・高等学校の学校長山口先生と校務部長の平方先生にお会いした。

☆山口校長の聖学院の理念の話は2つの点で大変興味深かった。そして平方先生の聖学院の英語教育と理数教育の改革の取り組みに、その理念が貫徹しているのには驚愕。

☆聖学院の理念は、教育活動において息吹いている。まさに理念の現代化を丁寧に行っているのである。

☆まず、山口校長の理念についての話であるが、キリスト教主義に基づいた教育とは、一人ひとりのタレントを伸ばす、多様性を重視する教育だというのである。一神教であるにもかかわらず、一人ひとりの価値を重視するというのは、一瞬あれっと思ったが、それは浅薄な判断だった。

☆神の前では、それぞれの多様な価値を大事にするのは、むしろ当然なのだと、座標系で考えるように説明された。なんと、聖光の工藤校長が語っていた心の座標系とはたんなる比喩だと思っていたが、山口校長の話を聞いて、価値基準のものさしそのものであると了解できた。

☆縦軸は神へのゆるぎなき絶対的ものさしで、横軸は多様な相対的な価値のあるときは協力、またあるときは競争なのである。絶対的という考え方と相対的という考え方は、反対語ではなく、対になっている言葉なのである。

☆絶対的な価値はない、すべては相対的なのだという考え方のみが真ではないのだ。相対的な関係を支える絶対的な基準があるというのもまた真だったのである。

☆それから、もう1つは、初代校長石川角次郎の問題意識についてである。教育は国によって管理されるものではなく、1人ひとりのタレントを伸ばすために、世界市民による寄付行為で教育がなされることが大事なのだという思想は、なんて時代を先取りしているのだろう。

☆これは平方先生のいう英語教育のパラダイム転換の話につながる。従来の英語教育はインターナショナリゼーションという国家単位の国際社会が基盤になっていたが、これからは世界市民がいかに生きていくかというグローバリゼーションのパラダイムで行われなければならないのである。

☆東大を頂点とする大学進学指導は、やはり国家単位の発想。聖学院は世界共和国で進路を考えるという発想。そのためオーストラリアの大学と国際併願できる教育システムを構築したのだと。

☆また、グローバリゼーションへのシフトは、ITという理数的発想が促したのであり、英語教育と理数教育のつながりを無視できないのだという。

☆帝国から国家へ、国家から世界市民へという時代の要請を、創設当初から洞察し、教育を実践してきた聖学院の先見性に改めて感動した。

|

« 海城のさらなる発展 | トップページ | 白梅学園清修の理念の現代化 »

クオリティスクール」カテゴリの記事