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順天長塚校長から学んだこと

☆「私立中高の挑戦 未来を創る教育」という番組の収録で、順天の長塚校長先生にお会いした。

☆個性を徹底的に重視する多様化プログラムの開発に頭が下がった。しかし、お話をお聞きしながら、この穏やか校長の心の中に強烈に輝く光を見て、畏れている自分がいるのに気づいた。

☆というのも、1人ひとりの個性に対応する多様なプログラムや教育を用意するのは、手間ひまがかかり、膨大な時間とコストがかかり、それでいて全体を見失い、神々の闘いになるのが、市場の原理の顛末であるのは、20年前のバブルがはじけたとき、そして今もリーマンショック以来の不況から抜けきれない閉塞状況を目の当たりにしているからである。

☆にもかかわらず、順天は、多様性を徹底することで、そこを突き抜けている、つまり閉塞状況など生まれないようにしているのである。

☆長塚先生は、ロングホームルームをグループコミュニケーションという対話や議論のチャンスに費やすプログラムを実施している。スクールステイで寝食をともにしながら、学び遊ぶプログラムを実施している。

☆学内図書館で撮影をしたのであるが、その2階の自習室では高3が、真剣に学んでいた。8時まで学ぶ選択制の講座の合間を利用しているという。撮影クルーが、この高3の姿は尋常ではないオーラを感じますと囁いてきたほどだ。

☆とにかく徹底しているのだ。この徹底を貫く構えに、順天の理念があることに気づいたのは、撮影終了後順天を去ってからである。電車の中で、長塚先生が体験と理論を統合するという話をしていたのを思い出し、あっと思ったのだ。

☆なぜ理論が必要かというと、多様性のいきつくところは矛盾である。バブルがはじけるとか大きな物語が喪失するとか、そういう比喩で表現しているうちは、まだまだ理屈で情況を把握していない。その現象は、矛盾が引き起こしているのである。だから矛盾が何か明確に把握する必要があるのだ。

☆徹底するとパレート最適にいきつく。ところがこの最適とは最良のことではないのである。もはやこれ以上矛盾が生じない矛盾状況のことを言っているのである。現状の社会では、その矛盾をどうしようもない。制御できないのである。だからクラッシュする。

☆しかし、この矛盾状況に到達したとき、順天は問題解決ができるのである。それがコミュニケーションであり共同作業なのである。そのどうしようもない矛盾を1人ではなく、共に考え抜くのである。

☆パレート最適を乗り越えるのは、実は選択判断をする多様なそれぞれが、自分の選好を振り返りシフトするしかない。できることなら第三の道をつくらねばならない。なるほど創造性に力を入れているのはそういうことだったのか。

☆理屈とは矛盾を知ることであり、理念とはそれを乗り越える創意工夫。この2つは徹底しなければ、統合できない。凄まじい教育観だ。私はこの凄まじさに畏怖を覚えたのだと思う。

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